

先週のS&P 500は下げてから反発した。製造業ISMは数字としてはほとんど反発しなかったが、支払い価格の上昇がインフレ―ショナリーと解釈されて債券と株式はダブル安となった。更に労働コストが上方修正されたのもインフレ―ショナリーであったが、下を叩く動きはそこまでで木曜はほぼ寄り底となった。非製造業ISMはもはや消化試合になり、数字自体も消化試合だった。週後半のラリーの根拠は話題になったが話題になる理由がよく分からない。先週の記事では「アグレッシブにタイトに作れば3940 -4025のレンジになる」としていたのだが、実働域は3928 -4048であった。

CTAはがっつり売っており、水準としては2022年の底辺圏には及ばないものの、短期的にCTA売りで崩れるのを期待できる時間帯は過ぎつつある。


決算期はこれまでの四半期対比でも無難に通過した。フォワードPERは直近の下落でさすがに少し調整した。フォワードEPSは下げ止まりの様相を見せ始めている。これが上向き始めたら売りは全て無用になるだろう。



長期金利は一時的に4%を超えたため上値余地は一段と広がったように見えたが、それは特に(少なくとも株式の)ボラティリティの盛り上がりに繋がったわけでもなかった。短期ターミナル金利は既に12月のドットの遥か下から上にかけて十分に上昇しているため、一段とした金利上昇にはFedの実際の方向転換を確認する必要であり、それが短期間では与えられるとは期待できなかったためである。次は雇用統計に注目である。


NAAIMは引続き低下した。木金と2月後半の下向きトレンドは上に曲がったため、NAAIMとのバランスではロング有利に転ずる。GSセンチメント・インジケーターも再び陰転しており、これが水面上に出たことだけを見て彼らが相場を曲げると決め付けたところで得るものがなかった。
テクニカルには週足が立派な下ヒゲ陽線となった。200SMAへの纏わり付き方は予想よりも積極的であったが、一時的に下にブレイクした二度目のチャレンジも昨年のような下放たれには繋がらなかった。ここまでは昨年8月後半から9月にかけての展開と背景も含めてそっくりであった。つまりノン・リセッションをテーマにした大幅な金利上昇に対し、株式は最初は反応しなかったものの、金利上昇がある臨界点を超えたところで株が急速に金利にサヤ寄せする形で売り崩される、というものであった。しかし途中からは再現に失敗しており下落は加速しなかった。その理由は明らかであり、本ブログが唯一警戒していたイントラデーで2%を超える下落がついに見られず、リアライズドVolもVIXも低迷したため指数の流動性も枯渇せず、下値を叩く動きが不発だったためである。これは逆張り0DTEのおかげかもしれないが、基本的にはCTAが売りに転じ始めたタイミングでその帰趨まで考察しようとした記事で予想した通り、CTAの売りを他の参加者がキャッチする余力があったということである。3940 -4025としていたレンジの重心はよかったものの日足ベースのサポートもレジスタンスもブレイクはされている。週足下ヒゲの3930は新しいサポートとなる。上値余地は開放されたものの、依然バリュエーションは慎重さを要求する。調整した場合の3930を背にした押し目買いはしやすいだろう。3930を下にブレイクした場合は9月の再現になる。
これより先はプライベートモードに設定されています。閲覧するには許可ユーザーでログインが必要です。
この記事は投資行動を推奨するものではありません。