
S&P 500はイベントフルな一週間を小動きで通過した。基本的にはAT1界隈のリスクセンチメントを眺めながらであったが、前半は地銀問題の後処理のヘッドラインも少し流れた。UBSによるCSの買収成功は株式にとっては不確実性剥落のグッドニュースであり、その後のグダグダは後処理の部類に入る。先週の記事ではヘッドラインリスクを押さえ込めるほどではないとしつつもS&P 500ではレジスタンスとして4080、サポートとして3850と3760を挙げていたが、3850 -4080の内側のかなり狭いレンジに収まった。ナスダックだけは11800ブレイクで上値を追えるとしていたが、こちらはむしろ週後半にかけてパッとしなかった。

FOMCは先週の記事の予想通り無難に25bpの利上げを行ったが、クレジット・コンディションの引締りへの注目が目立っており、ハト的なトーンが目立ったため短期金利は低下してリスクオンで通過した。しかしほぼと同時にイエレン財務長官が「預金の全面的な保護」を否定する発言を行ったことからS&P 500がクラッシュし、朝起きてみるとただの金利低下・株下落のリスクオフデーとなっていた。もっともこの投げ売り大会も1日で終わり、翌日以降は小動きが続いた。先週の記事で取り上げた週末跨ぎを回避する動きが木曜引け近辺から見られたが、そこまで警戒が早まると金曜は下がり切れなかった。金曜はAT1ショックをやや強引にドイツ銀行まで波及させたものの、米株にはほとんど関係がなく、安寄りからのじり上げでS&P 500は日足下ヒゲ陽線となった。


マクロの不確実性は引続き高く、それをひたすら金利低下で補っている形である。これがnot QEモーメントの威力か。

マクロの不確実性の割りには予想EPSは堅調である。直近は反発してから少し調整しているが、もしこれが再び伸び始めたら売りは一切不要となる。逆にこれが楽観的すぎるとするのが例のマイク・ウィルソンである。


米国内の預金ストレスやMMFへの逃避は一巡している。次のCMBSで何かメルクマールになるイベントが起きるまでマクロネタは小康状態を迎えるのではないか。

NAAIMも小康状態であり、値動きとは大きな乖離がなく、悪材料出尽くしに移行しつつある。
テクニカルも小康状態であるが、一週間でこれだけのヘッドラインをこなしても大して動かなかったのはポジティブである。ショートサイドはこれだけの欧州時間発リスクオフ・ヘッドラインを当てても大して利益を挙げられなかったと思われるため、今週以降はショートカバーの方が入りやすいと思われる。金利も正常化するなら株式の上がり方も緩やかにはなると思われるが、下の叩けなさは異常なのでショートは封印となる。FOMCの日の大きな上ヒゲ陰線が非常に目ざわりであるが、木、金と続落リスクを封じており、金曜は下ヒゲ陽線で返せている。S&P 500の3900 -4080が新たなレンジとして意識されそうである。何か新しいイベントで3900を割り込んだらまたイベント消化サイクルとなるが、3900さえも割れないならあまり恐怖を感じる必要はなさそうである。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。