SPX technical
 S&P 500は小動きの一週間となった。先週の記事で「今週は決算とOp Exがあるので先週よりも「勢い」が続きづらいか。一方、下値の叩きづらさも満載であり、指数が1日2%以上下がる日が出ない限り、下がったところは押し目になりそう。4070は引き続きサポートとなる。Op Exまで4150 -4200から少し離れては戻すのを繰り返すことになるか」としていた通りである。4150より上を買う市場参加者は乏しかった。一方で4150から下に離れたところも押し目になった。
WSJ nick BTFP and bank deposit
GS tax receipts
 基本的にはテクニカルで説明し切れる展開だったのでファンダメンタルズを見る意味は薄いが、一応木金に発表されたH4, H8では中小銀行の預金不足は一直線には解決していない感があるが、これは税揚げに伴う預金減であり相場に影響を与えたとは思われない。税収は例年よりも少ないようで債務上限問題のリミット前倒しがやや意識された。もっとも指数の値動き自体は圧倒的にCTAのショートカバー、Op Exそして0DTEが支配しておりファンダメンタルズ講釈が付け入る余地がない。
GS CTA positioning
GS CTA estimates
 4月の主役になった形のGS CTA。4/1の記事では「もし彼らがショートカバーに入ってきたらそれなりの火力を発揮しそうである。もっとも、CTAのショートカバーはファンダメンタルズには関係ないので、指数が上がったからと言ってチャートに説得されてファンダメンタルズ・ブルにだけはなってはいけない。ここ数ヶ月はだいたい彼らがマッシブロングになった後にフリップで下落に転じているが、今回はセルインメイあたりのタイミングがフリップに当たるか」としていたが、実際4月いっぱいにかけてCTAの買戻しが続いた。直近ではマッシブロングまで振れているためCTAはここから売り手に回りやすくなる。ちょうどセルインメイの直前にもなるし、先週の記事で取り上げたように4月のシーズナリティの良さも終盤に差し掛かっている。
JPM SPX gamma imbalance
 Op Exは特に資料となるものがないが明らかに4150コールがピンになった。今週は4150ピンが消えてオプションポジショニングが少し綺麗になるため先週よりも指数が動きやすくなるとされるが、果たして。
GS NDX realized vol 1w
 先週の記事ではVIXのクラッシュを取り上げたがインプライドVolの低さは自己実現しており、リアライズドVolもクラッシュした。ボラティリティの低迷は他のシステマティック勢の買いを炙り出す可能性もあり、CTAだけが相場を動かしているわけではない。もっとも1日2%を超える下落があったらシステマティック勢の買いどころではなくなる。
NAAIM
 NAAIMは指数が動かない中で再び楽観域に傾いている。

 テクニカル的には小動きながらも週足は上ヒゲ陰線となっており、4170が週足レジスタンスとなる。ショートカバーの目線は4200に置いていたのだが一旦は時間切れが示唆されるか。4100前半さえも日足下ヒゲを連発しているようでは下値はたかが知れているようにも見えるが、Op Ex後に雰囲気が変わらないかに注目である。2022年8月もCTAのショートカバーが一巡したタイミングがコールロング超(4300ピン)のOp Exとぶつかって反落クラッシュしているが、あの時の4300ピンが4150ピンになっただけではないかというシナリオも考えられる。もっとも2022年8月のケースでは長期金利が先に大幅上昇に転じており、今回の金利上昇が「正常化」の範疇を出ない点は異なる。ブル・シナリオは4170をあっさり上にブレイクした場合であり、その場合は4100を背に4200 -4300ゾーンを狙うことになる。その場合はただでさえも上値余地が狭いので、その前に4170を背にしたショートからのドテンでコストを増やしたくない。しかし4月前半ほどにはショートはリスキーではなくなっていると見るべきではないか。ただ慢性的な低Volレジームから抜けない限り下値は堅く、ショートはタクティカルにはワークするかもしれないものの、大して伸びないとは思われる。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。