SP5
SPX technical  
 S&P 500は地銀問題の再燃で一旦下げてから反発した。先週の記事では「理論的には4170レジスタンスは消滅しており、代わりに4050がサポートとなる。ナスダックも2月から続いた12200の水平レジスタンスに差し掛かっており、このゾーンをしっかり抜けられれば脱2022年を確認できるだろう」としていたが、まさに4048で跳ね返っている。FOMCは無難に通過したが、リスクとして意識されていたというよりアップサイドを期待されていたイベントだったようで、引けにかけて指数は金融主導でダラダラと売られた。一方アップルの決算雇用統計はさすがにリスク通過イベントになった。クアルコムによるアップルのカンニングは効かなかった
Barrons Factset Stock index
Bloomberg Regional Bank Stocks
 先週の記事の観測通りFRCの救済は難なく決まった。しかし早すぎる解決の後はどうも毎回「次は誰か」の発作に行われるらしい。SVIBの時もそうだったCSが週末UBSに買収された後のAT1ショックもそうだった。今回もPACWとWALが4, 5匹目のドジョウの座を狙った。地銀株を売り崩せば取り付け騒ぎになり、買い手はどうせ破綻を待ってから安く買う。しかもJPMはしばらく他の地銀を買えなくなる。そういうロジックでの仕掛け売りが週前半続いた。この手の仕掛け売りは途中まではスパイラル状に値動きを出せるが、どこかでは流動性に問題なかった銀行にぶち当たるし、週末が近づくにつれて時間切れ感が漂い地銀株がショートカバーに見舞われると、他のセクターにも地銀問題だけを恐れて待っていた投資家の買いが入った。
DB Equity positioning
 DB positioningはシステマティックのショートカバーが進んだ代わりに裁量投資家が4月下旬にまたポジショニングを落としている。「リセッションに備えて」と解説されている
GS Vol Control
 GS positioningはVolコントロールだけ流れてきたが、こちらは天井域に張り付いている。機械の買いは止んでいるが、やはりリアライズドVolが上がって来ないのでなかなかフリップはして来ない。火曜などは一時下げ幅が2%に近付いたが下値での押し目買い興味は失われず、4180から4048までの下落はゆっくりと行われた。
Factset SPX bottom up EPS
 決算期を通過して1年フォワードEPSはやや上向きになっている。もっとも期間を区切ると2024年分は一旦反発した後に伸び悩んでいるようにも見える。
DB beating rate
 もっとも決算期を堅調に通過したのはEPSの動き方というより、期待が低すぎたせいでビートしやすかったからである。
NAAIM
 NAAIMは木曜まで下げ続けた割に反発したが極限まで楽観になったわけではなく上値余地を抑える水準にはなっていない。先週は「これだけ見ると目を瞑って買える」としていた。シーズナリティ的には堅調な4月が終わって弱い5月に入ったが、決算期を大方通過したので自社株買いも解禁されている。今週はCPIが予定されているが、雇用統計と同様バックミラーらしい反応になるのではないか。
Nikkei SP500 4200
 テクニカル。前回の記事では四捨五入で粗く4050サポートとしていたのを正確には2ポイントほどブレイクされており、そういう意味で先週の下げは想定以上ではあった。一旦タッチして跳ね返った先々週の週足下ヒゲの4048サポートが引続き分かりやすい分水嶺になる。もし続落して4048を再び割り込むと日足がヘッドアンドショルダーになるため今回のラリーは終了を迎える。アップサイドは4200が世間でやたらと意識されており、4200も超えられないようではベアマーケット・ラリーの範疇を超えないとの声が根強い。本ブログはこれまでよくも悪くも4200を(オプションのガンマ・ウォール以上の)レジスタンスとして意識してこなかった。今も軽視している。
SPX Realized Vol 1M and 3M
 先週は今のところ「救済の後の発作」の範疇に収まっており1日2%も下げられない低Volレジームを打破できなかった。4048も割れないようではそれでも押し目買いのアップサイドの方がまだマシに見える。恐らく4200にあたる水準の手前にあたるナスダックの12200台を上抜けられるかどうかに注目したい。

これより先はプライベートモードに設定されています。閲覧するには許可ユーザーでログインが必要です。


この記事は投資行動を推奨するものではありません。