先週のS&P 500は一旦は下値を試したがすぐに反発し、4150を上に抜けた後に大幅な続伸となった。特に個人投資家が好きなナスダック主体の上昇なので体感ではもっと伸びている。デジタルリスクになった債務上限は大した進展がないが、前回の記事で「米国の債務上限の早期解決などのマクロなグッドテーマと1日2%以上の下落に対してそれぞれ上下に脆弱になる」としていた通り、口先だけでもグッドニュースの方に脆弱であった。
金融政策ではダラス連銀のローガン総裁が6月利上げを示唆しており、それは中小銀行危機の進行のなさを考慮すると特段不思議ではないが、パウエル議長が改めて6月据え置きに傾いた。要するに中小銀行危機が怖いためバブルをも容認するということであり、「株が上がると引締めが足りないことになるためパウエルが怒る」ストーリーはやはり徹底的に死亡、滅亡したのである。金曜になると手じまいに加えてイエレン財務長官のが地銀の更なる合併について触れたため調整が優勢であったが、それでも下げ幅は限定的になっている。
それでも金利は再び反発しており、2022年によく連動していた実質金利とナスダックの連動が解けている。これは予想EPSが久々に上方修正に転じたのと、金利上昇がFedが無理やり動かしたものではなく、リスク・プレミアムの縮小に伴う「正常化」だったためである。
2022年レジームで効いていたナスダックとFed BSを並べてもナスダックの割高化が目立つ。
概ねリセッショナリーなニュースがあると3%前半まで金利が下がり、解決されると3%後半まで戻るといった展開が続いており、金利低下でバリュエーションを直接ブーストできるほどではなかったにしろ、デュレーションによるヘッジ機能は復活しているため、債券と株式の双方を保有するタイプの戦略はポジションを復元しやすくなっている。
EPSはQ1が悲観的すぎだったのが今季決算から分かっているが、特段強気なガイダンスもなかったためQ2以降の低下は止まっていない。もっともQ1が跳ねたのでQ2のハードルもまた下がってくるのではないか。
AIバブルの話が出てから一旦はS&P 500ごと調整が優勢になったが、目下再びバブルの赤ちゃんのようになっている。水曜の引け後にNVDAの決算が控えている。
QQQのショート建玉は解消途上である。
NAAIMはがっつり上昇に置いて行かれている。これだけ見るとロングに全く懸念がない。
前回の記事は記録的な情報のなさだったので前々回の記事まで遡ると「本ブログはこれまでよくも悪くも4200を(オプションのガンマ・ウォール以上の)レジスタンスとして意識してこなかった。今も軽視している。先週は今のところ"救済の後の発作"の範疇に収まっており1日2%も下げられない低Volレジームを打破できなかった。4048も割れないようではそれでも押し目買いのアップサイドの方がまだマシに見える。恐らく4200にあたる水準の手前にあたるナスダックの12200台を上抜けられるかどうかに注目したい」としていた。4200はOp Exでも意識されており、ディーラーはロングガンマの方で迎えて消滅したとされている。もっとも直近のコールの買われ方を見ていると本当にそうなのか?という気もしなくもない。もし逆なら下落相場がよくOp Exで底を打っていた現象の反対になる可能性も残るため、日足上ヒゲ陰線でもないが金曜高値の4213は一度分水嶺として意識してみたく、その手前で高値を追いかけるのは控えたい。本ブログは4200を軽視してきたため抜けたことも材料視はしていない。債務上限の話題についてはポジショニングがたまたま「グッドニュースに脆弱」だっただけで、まだ本当にグッドニュースが来たわけではない。もっともポジショニングは重くないので何かヘッドラインが流れて調整に入ったとしてもせいぜい高値圏でレンジを作る程度だろうとは思っている。ただし例のごとく1日2%以上下げたらしばらく静観に。引続き4048はサポートとなる。
これより先はプライベートモードに設定されています。閲覧するには許可ユーザーでログインが必要です。
この記事は投資行動を推奨するものではありません。