

S&P 500は何の疑念もなく続伸となった。先週の記事では「先週安値の4104は新たにサポートとなる。安易な値ごろ感ショートは引続き危険であり、週半ばまでに調整があれば4104を背に押し目買いを進めていけるだろう。議会採決と重なる月末に向けてMtdで債券を大きくアウトパフォームした株式を一旦利食いに出る動きが出るかどうか。4104を割り込んだらまた新テーマで動き出している可能性が高い。上値余地はオープンである」としていたが、まさに先々週末の4200から月末に向けて4165まで調整し、その後週末に向けて大幅に反発したため、先々週の記事に続いてまたしても実際の展開を一字一句違わず正しく予想できたと言えるだろう。米国財務省のデフォルトは回避された。

米国のエコノミックサプライズはノン・リセッションが話題になった2月以上に上向いている。雇用系の統計が相次いだがいずれに堅調で、一方で時給の伸びは鈍って来るといういいところ取りの結果となった。中国でも未確認の不動産市場の規制緩和観測が出て週後半に米国上場の中国株は大きく反発した。シクリカルに安心感が出てくることによって5月のテック一強相場はむしろ和らいだ。特に真っ先に相場を牽引してきたSOXが金曜になってアンダーパフォーム気味だったのが特徴的である。これまでブレスを取り上げて「少数の銘柄に牽引された上昇は健全ではない」としていた声は仕切り直しになった。

トップ7がS&P 500の占めるウェイトはすっかり回復した。あれほど今年「ラージテックの復活だけはない」と言われてきたにもかかわらず、である。



5月の最終週はテックへのFOMO突撃が続いた。


パブロフの犬のようにFed BSとS&P 500を比較する投資家が重視する流動性対比ではS&P 500の上昇は行きすぎている。債務上限が引き上げられて債券発行が増えると更に流動性が吸い上げられると警戒する声もある。コロナワクチンの開発が成功した時も似たようなロジックで高値から一旦調整したのを思い出す。もちろんその時は天井にはならなかった。

バリュエーション的には引続き債券割安、株式割高である。これは今のボトムアップのフォワードEPSがまだ悲観的すぎると市場が織り込んでいることになる。

2022年までは金利が大幅に上昇すると株式が割高になるのでその都度クラッシュしてきたが、EPSが伸び始めるとその限りでもなくなる。今のところ大した伸びでもないが、フォワードEPSが伸びている間は引続きショートは危険である。

債務上限に加えて週末に雇用統計まで無事に通過したことでVIXが15を割るまでクラッシュした。リアライズドVolも依然上がらないが、いよいよVIXがリアライズドに近付いてきた。今後も上昇相場が続くにはじり高への移行が必要である。

NAAIMはなぜか更に悲観化している。これでは先々週から変わらず「これだけ見るとロングに全く懸念がない」ということになる。
テクニカル。週足は2本目の下ヒゲ陽線となり4165までサポートが上がってくる。このサポートが守られる限り上昇トレンドは続いており、上値はチャートからは引続きオープンである。もっとも4300には6/30エクスパイアのJPMカラーの足が残っており、エクスパイアまで4300がピンとなるにはやや残り時間が長すぎるものの、4300より上は値動きが重くなる可能性もある。一方4165を割り込まれると新たなトレンドが始まっている可能性が高い。そうならない限り、また1日2%の下落が見られない限り、4200前半までの調整でもあれば引続き押し目買いで問題なさそうな地合いが続く。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。