Bullish meme
SPX technical
 先週のS&P 500はその前の数週間と同じリズムになった。週前半に売られ後半に買い直されたのである。先週の記事では「週足は2本目の下ヒゲ陽線となり4165までサポートが上がってくる。このサポートが守られる限り上昇トレンドは続いており、上値はチャートからは引続きオープンである。もっとも4300には6/30エクスパイアのJPMカラーの足が残っており、エクスパイアまで4300がピンとなるにはやや残り時間が長すぎるものの、4300より上は値動きが重くなる可能性もある。一方4165を割り込まれると新たなトレンドが始まっている可能性が高い。そうならない限り、また1日2%の下落が見られない限り、4200前半までの調整でもあれば引続き押し目買いで問題なさそうな地合いが続く」としていた。

 昨年10月のボトムから20%反発したので、今更感が強いがブルマーケット入りしたとも言われている。4300を突破すると「これで2022年8月の高値を抜いたのでショートカバーを巻き込んで云々」との歓声も上がったようだが、本ブログの想定通り4300より上は重かった。週前半の押し目は4261までで、4200前半までは届かなかったので押し目買いをするなら見切り発車する必要があったのだが、それを除けばまたしても先週の見立て通りだったと言えるだろう。
GS CTA positioning
MS QDS systematic positioning
 システマティック勢のポジションは重くなってきたのは間違いなく、そういう意味で上昇トレンドの最も確度が高い局面は既に通過した。マックスまで来たわけではなく、「何かあった場合の」上下バランスは悪化しつつあるものの、きっかけがないと自動的に売りに回り始めるわけではない。これまで起きたのは基本的にイベント通過に伴う不確実性の剥落であった。これは春今年に入ってからの買いがシステマティック勢が中心であったことから明らかであり、従って指数に限っては何か特殊なファンダメンタルズ・ストーリーを描くよりも、あくまでも個々のイベントに対してそれぞれ警戒する価値がないと判断することが大事であった。本ブログが重視してきた1日2%以上のクラッシュは結局起きず、リアライズドVolも上がらない低Volレジームが続いた。ついでに米金利も下がっていない。直近は中小銀行危機の終了に伴う金利上昇が優勢であるが、これは金融政策への恐怖というよりもリセッションヘッジの金利ポジションのアンワインドが中心と思われるので、たまに発作的にナスダックをアンダーパフォームさせる日もあったものの、指数ベースでは株式に悪影響を与えていない。どこを見てもリセッションヘッジのアンワインドである。
FT retail net purchase of US listed securities
GS Total call volume
 もう一つ見られたのはずっと元気がなかった個人投資家のAI関連株への殺到である。コール出来高は急増した。
GS prime book ETF short flow
 GSのプライムブックでもETFのショートカバーが見られた。
MS Hotter but shorter cycle
MS equity risk premium
 その結果、EPSも底打っているものの株価はそれよりも遥かに素早く回復しており、バリュエーションはフォワードEPSと金利対比でも割安とは言えない。
NAAIM
 NAAIMについては3週間にわたってこれだけ見るとロングに全く懸念がない」とし続けてきた。しかし先週(値動きが最も小さかったにもかかわらず)急に総楽観に近付いている。総楽観期間は数週間続くこともあり得るものの、ロングに全く懸念がない期間は終わったと判断される。
JPM equity exposure survey
 サーベイベースでは昨年後半から株式のエクスポージャー引き上げに前向きな割合はどんどん低くなっているが、口嫌体正直の可能性もある。
Insider transactions ratio
 逆に企業インサイダーの売りは増えている。これまでのインサイダーのベアピークは4月、1月、そして昨年8年となっている。
New bull market
 昨年8月と言えば同じ4300まで指数が一時的に上げ、後追いブルを量産した時期である。

 テクニカルはこれまでの数週間ほど明瞭ではなくなっている。金曜の4300上抜け失敗は日足上ヒゲ陰線を作った。4323は日足レジスタンスとなり、呑気な上昇相場再開はそれのブレイクを待つ必要がある。週足は引き続き4165がサポートとなるが、引続き4300より上が重い前提で押し目買いのオッズがよくなるまで待ちたい。今週は週末にOp Exが控えている。直近の数ヶ月はそうでもないが、Op Ex直前はピンに張り付くか弱いかが多かった。更に同じ週に米国CPI、FOMCとECBも控えている。自社株買いのブラックアウト期間も週末に始まる。シーズナリティ的にも過去の数週間より不利であり、押し目を拾うにしてもこれまでよりもやや慎重に考えたい。

これより先はプライベートモードに設定されています。閲覧するには許可ユーザーでログインが必要です。


この記事は投資行動を推奨するものではありません。