
S&P 500は一度下押しした後に棒上げとなった。先週の記事では「4340では金曜に一度付けて跳ね返ったもののまだ明確に離れていない。木曜の偽底打ちや金曜高値が集まる4365 -4390近辺は日足で重そうに見える一方、従前通り4300 -4320は買戻しが優勢になりそうに見える。6月末はJPMカラーの足の4320に張り付いて迎えるのが最も美しいようにも見えるが、果たしてそこまで素直に動くのか。それまでに4320以下を試すなら買い場に見えるし、一方もし特に買い場もないまま反発に向かったとすれば、月末リバランスでは再び下押ししやすいのがアノマリーなので深追いは不要に見える。月末をちゃんと低めの水準で迎えるなら5月と同様、目を瞑って買って問題なさそうに見える」としていたが、4340はサポートにならず安値は4328まで伸びた。4300 -4320はサポートとしていたが僅差で届かず、当然4320にも張り付かなかった。4450から100ポイント以上も調整してくれたことが既に奇跡なのであまり欲張ってはいけなかったようである。経済指標は強いGDPと順調にディスインフレが進むPCEの組合せで株式の上昇が加速し、月末リバランスらしき動きは債券買いとしては観測されたが株式は結局買われ続けた。

投資信託の株式ベータはアンダーウェイトから中立付近にようやく戻った。他社の言う「裁量投資家」に近く今回のラリーで最も出遅れた投資家であるが、根強かったリセッション懸念とインフレ継続懸念が剥落しつつある中でいよいよ炙り出されたということか。


個人のセンチメントも少し前から改善しており、それに伴い個人が好むバスケットも再びS&P 500を少しアウトパフォームし始めた。少し前の記事でも個人投資家のコールでの高値追いを取り上げている。


直近の価格上昇はPER主導であったことは有名であり、EPS予想が切り上げたわけではない。もっとも今後リセッション入りするのだから過去の例と合わせるとマイナス10何%になるはずだというリセッション派の言う通りの切り下げ方になったわけでもない。リセッション懸念の剥落に伴いPERの修復に繋がった。5月を通してはフォワードEPSが上昇していたが、直近では再び垂れている。


高金利が続く割りにはテックを中心にバリュエーションが極端に高いとは誰もが思うだろう。フォワードPERの1年程度のスコープ以降の激しいEPS成長が織り込まれているということになる。そうならないなら債券の方が割安ということになるが、特に6月のリセッション懸念剥落局面では債券の株式対比のアンダーパフォームは更に加速した。

シーズナリティは6月後半は弱かったが、7月は強いことが幅広く知られている。JPMのカラーは9/29満期にロールされた。水準は毎回引け直前に動かしているらしく毎回2パターンの数字が上がるのでわかりづらいが、4670コールの売り、4215プットと3560プットの買いとなっている。今回の4320コール売りはイン・ザ・マネーで終わった。近づいたのが早すぎたのか、4320より上の重さは続かなかった。

NAAIMはまたしても値動きに反して調整しており、これだけ見るとまだ目を瞑って買える。
テクニカル。週足は実体の長い下ヒゲ陽線となっており、また前回高値の4450をブレイクしたため今週安値の4328がサポートとなる。上値余地は依然オープンである。何もなければじり高が続きそうであり、そうである限り1%や2%の調整を当てるためにトレーディングする意味は薄いが、トレンドが反転するとすれば1日2%以上の下落があった時や、USD/CNHと米金利のどちらかが直近高値を更新した時だろうか。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。