SPX technical
 S&P 500は調整気味の時間帯に入っている。注目を浴びたのはADPを受けた長期金利の4%超えであり、木曜は指数が大きく売られた。2022年のCPIデーを彷彿とさせるような安寄りからのじり安となったが、下げ幅が2%を超える前に押し目買いが入りやや持ち直した。金曜は雇用統計を通過した後に一度反発が優勢になったが、木曜の下げがなかったことになる手前で更に売りが降ってきて安値引けしている。前回の記事では「1%や2%の調整を当てるためにトレーディングする意味は薄いが、トレンドが反転するとすれば1日2%以上の下落があった時や、USD/CNHと米金利のどちらかが直近高値を更新した時だろうか」としていたが後者が先に実現した。
DB Earnings estimate 
 決算シーズンが再び近付いているが、EPSコンセンサスはテックが5月に一度伸びてから動いていない。指数が伸びてきたのはあくまでもPERの修復である。長期金利の4%超えが定着したらどこまでPERを正当化できるか。リセッション等の懸念材料が一時的になくなったのは全員が知っていることであり、大クラッシュしなさそうなのが分かったからと言って今上値を追いかける理由にはならない。SVBショックを起点とする今回のラリーはFedのnot QEモーメントへの突入、そして低ボラティリティ・レジームへの移行に伴うシステマティック勢の機械的な買い戻しでほとんど説明できるものである。
DB Future Positioning
Bloomberg CFTC net non commercial future positions
 投機筋のS&P 500先物ショートは6月に急速に畳まれている。もちろん一部に先物 vs現物のレラティブ・バリュー取引の影響も含まれているだろうが、大半がそうとは思われない。2020年3月や、2022年3月や6月に先物ショート vs現物ロングのグロスポジションを膨らませたとでも言うのか。
GS SPX vs VIX
MOVE and VIX
Bloomberg Bond Stock correlation flips again
 4%を超えるまで長期金利上昇はリセッション懸念の剥落と同時であり、指数のバリュエーションに影響を与えてこなかった。しかし4%を超えると債券市場のインプライド・ボラティリティは大きく上昇した。とはいえMOVEも高値更新というほどではないが、6月のMOVE発のVIX低下、つまり「政策金利の不確実性剥落」トレンドが反転したのは恐らく事実で、また3月から5月にかけて債券がよくも悪くもリセッション・ヘッジになっていたのが7月になって反転している。これだけ見ると葬り去られていた2022年の再来に見えなくもないものの、方向性がそうなっただけで、現実にはMOVEからVIXへの伝播は進んでいないし、木曜が最も危うかったのだが1日2%の下落にはならず、低ボラティリティ・レジームが破綻したとまでは言えない。である限り下を売っても大して幅を取れない時間帯が終わったとまでは思われないが、上値追いのオッズも悪化しつつあるとは言えるのではないか。実際金曜の値動きがそれであり、ヘッドラインで勇んで下を売ってもショートカバーに見舞われることが多いが、上値をやった時に重くなる時の方が重い。
NAAIM
JPM sentiment and positioning
 NAAIMは下げにもかかわらず更に楽観化している。実弾としても過去の記事でも取り上げてきたようにシステマティック勢のポジショニングは満杯に近く、VIXショックの再来まで決め付けるほどではないものの、一旦下げに回った時にそれなりの追随が出そうなポジショニングにはなっている。架空の「買えていない人」やショートをバカにして遊べるほどにはポジションは軽くない。最大の味方は7月のシーズナリティである。

 テクニカル。金曜の日足は上ヒゲ陰線となっており4440は日足レジスタンスとなる。4328は依然週足サポートとなり、一旦はこれらの水準に挟まれたレンジになりやすいか。ナスダックで言うと13800近辺は重そうであり、上値を追いかけた参加者はこれらの水平レジスタンスに近い抵抗帯での重さに辟易しはじめるはずだ。一方何事もなかったかのように4440が突破されたら再びシーズナリティが勝った形となる。1日2%を超える下落が見られたら水準にかかわらずしばらく静観となる。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。