先週はイベントフルの週となった割りには、ただのやや上ヒゲを残したじり高となった。先週の記事では「基本的には水準よりも、ダウンサイドの方が大きそうに見えてきた決算や中銀イベントのタイミングを回避する方が大事になりそうである。もっとも月末まで通過したら再び売る理由が減るため下を叩くほどでもない」としていた。マイクロソフトの決算は滑ったが、同時にアルファベットが時間外で跳ねてインパクトを打ち消した。先日のTSMCと合わせてAIバブルが失速してもよかったのだがそうはならず、ナスダックはその後概ねレンジで推移した。FOMCは無事に通過、ECBも同様であった。日銀については前日の米国時間に日経新聞がYCCの実質的な撤廃のリークを行い、それが米金利、そして更にやや間をおいて米株に波及した。指数は米国時間にわたって売られ続けた。しかし日本時間になってイベントが実現しても円金利が特に荒れなかったのを受けてイベント通過感が強まり、ナスダックを中心にリスクオンに戻った。
DBのポジショニングでは相変わらず先行して買っていたシステマティック勢の後を追う形で裁量勢が高値を追っている。「リセッションが来るのでポジションは軽くディフェンシブに」がいよいよ言い訳できなくなったのである。Volコントロールはほぼ満タンまでポジションを回復しており、1日2%の下げで吐き戻しが出やすくなっているが、その2%下げが来ない。
何度か取り上げてきたように投資信託は一貫して慎重で取り残されている。
ARKKのキャッチアップを見ても個人投資家は明らかに参入しているが、マージンデットを見るとまだまだこれからという見方もできる。
前回の記事で警戒した通り、決算の裏コンセンサスが強すぎてミスでもビートでも売られている。もっとも個別銘柄をやっているような裁量投資家が最もポジショニングが軽いため、売られても通過してしばらく経つと買い直されやすく、指数全体も決算でバリュエーション調整しようという流れにはなっていない。前回「ミスでもビートでも売られた」2020年Q4はゲームストップ・ショックと重なっているがその後も大して調整しなかった。
プットはこれまでになく安くなっている。これは理論的にはダウンサイドが脆弱になりやすいことを示唆するが、2017年の前例も逆張りを正当化したわけではない。
FactsetのフォワードEPSコンセンサスはこの一週間で跳ねている。EPSコンセンサスの上向きが続く限りまだショートは禁物である。
決算は大型テックと半導体が続く。警戒もないので今更決算で上に飛びそうな雰囲気ではないものの、滑った後も気持ちよく売れない地合いが続きそうに思える。
決算期を通過すると企業自社株買いのブラックアウト期間が明けることになっているが、今のところ自社株買いのフローはそんなに旺盛ではないとの観測が多い。8月のシーズナリティは7月ほどは強くない。一方、先週の記事でも述べたように不確実性の方も多く通過したため依然下値を叩くほどではない。
NAAIMは総楽観が続く。こちらも上げ幅よりも一旦クラッシュした時の方が値幅が出そうな示唆となっている。もっとも先にクラッシュ自体が来ないとクラッシュしない。
テクニカル。日足レジスタンスが効かないじり高相場が続いているが、総楽観が近いからか、あまり上値を追いかけると振り落としも来るようになっている。ただ今のところその振り落としはVolコントロールを振り落とせるほどの値幅にはなっていない。木曜の下げは金曜に半分以上否定されているが、一応4529がサポート兼分水嶺となっており、これを再びトライしないまま上に行けば「やはりBOJ警戒など全く必要なかった」で済むものの、もし改めて下回ったら日足がヘッドアンドショルダーになってしまい下値余地が広がる。レジスタンスは直近でS&P 500対比でややチャートが弱いナスダックの週足陰線のヒゲにあたる14450が分かりやすい。ナスダックのサポートはS&P 500の4529にあたる14000近辺となる。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。