SPX technical
 S&P 500は一週間で大幅に反転上昇した。JOLTSの順調な減速を確認したのがきっかけになった。もっとも週間を通して金利が低下したわけでもないが、とにかく株式は反転した。先週の記事では引続き4328を分水嶺に挙げつつ、サポートとしては健在であり、Volコントロールの売り崩しだけをデジタルリスクとして懸念していたがそれは現実化しなかった。
NVDA
 上値は決算時から相場の象徴となったNVDAが分かりやすかった。決算後のピークは500ドルであり、そこから一旦利食いやコールの投げで大きく調整したが、冷静に考えて指数と同じように下を叩く理由もないため再び500ドルに近付いた。先週の記事でも「NVDAの好決算でも反応が悪かったのを見てS&P 500の騰勢もピークに達したとの観測も早速見られたが、そこまで深読みするのはもはや占いの範疇であり、直近の値動きはあくまでもポジショニングの偏りで解説されるべきと思っている」としていたが、やはり深読みは有害であった。しかし500ドルより上はやはり上値を先取りしていたポジションが重く、目下のレジスタンスになっている。指数はもう少しアウトパフォームしているが、地合いはNVDAをトレースしているように見える。
GS CTA positioning
GS CTA projections
 それなりの調整の中でGSのCTAポジションは平均程度のロングまで落とされた。元々「GSのメインシナリオではCTAの売りは8月いっぱい続くことになっている」のだが、予定通りに売り終わったと言えそうだ。
GS Dealer Gamma 2s change
 CTAの売りに加え、ディーラーがネガティブガンマに陥っていたことが4300〜4400台で値動きが安定せず下値が脆かった背景であった。これがOp Ex通過で綺麗になるのかと思いきや、NVDA決算とジャクソンホール通過後まで一部のヘッジは伸びていたようで、一筋縄では反転上昇しなかった。ネガティブガンマが消滅したのはジャクソンホール通過に伴うヘッジ消滅と、相場の反転が明瞭になってオプション売りが入り始めたからと思われる。
DB Call volume
 DBによると再びテックのコールが買われ始めた。
BofA CTA Risk Parity Vol control positioning
 BofAのシステマティック勢ポジションはCTAが下落局面で大幅に売却、リスクパリティは少しだけ売却、Volコントロールは変わらずとなっているが、一般的にはVolコントロールの方がリスクパリティよりも俊敏に動くはずではないか。
Nomura Vol Control
Nomura CTA positioning
 一方、野村はVolコントロールが下落局面でそれなりの勢いで売却に動いたとしている。1日の値幅が2%を超えるとVolコントロールの売りが目立って来ると野村も指摘する。更にCTAについてはトレンドが下落から上昇に転じたのを受けて買い戻しが目立ってきた。前回の記事で「CTAは順張りなのでチャートそのものが先に上向きになれば売りも止むだろう」と見ていた通りである。
Factset EPS
 ボトムアップEPSコンセンサスは切り上げが続いており、直近の指数の下落の方に根拠が伴っていないことを示す。実際それはシステマティック勢とネガティブ・ガンマを持たされたディーラーの自動運転に近かったという解釈となる。
NAAIM
 NAAIMはさすがに反発したが水準はまだ高くなく、これだけを見れば目を瞑って持てる水準である。日柄も主なリスクイベントは概ね通過した。9月上旬は金利が上昇しやすいことが分かっているが、分かっている話なので株式の方に不確実性が伝播することはないだろう。

 テクニカル。4328サポートは生還しており、4450がよくも悪くも空気だったのは前回の記事で予想した通りである。4500超えまで一気呵成した後はさすがにディーラーのポジティブガンマらしい値動きとなった。つまり雇用統計などがファンダメンタルザー達からどうパーフェクトに見えようと、それを4500台で発作的に表現する市場参加者は少なく、4500台で上を買い上げると戻り売りが出やすく下値では買い戻しが出やすい態勢に遷移した。これは下落局面で一度下がり始めると追随しないといけなかったのと大きく違っており、再び下落局面入り前に本ブログが繰り返してきた「下値を叩く必要だけはない」態勢に戻る。その分(主にNVDAの500ドル手前に当たるあたりで)上値も重く見えてくるが、膠着を経て4500台前半の壁を突破するきっかけを作れるとすれば、低Volレジームを確認したVolコントロールとCTAの買い戻しではないか。上りも下りも一直線すぎてテクニカルの出番があまりないが、一応50SMAの4470がサポートとなる。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。