
S&P 500は予想に反して再びナスダックを中心に下値を伸ばした。前回の記事では上値は重いとしつつも4500近辺でリアライズドVolが下がるのを待てばショートカバーを期待できるとしていたが、下値は思っていたよりも伸びた。今回は日柄や需給ではなく、中国で政府や国有企業でのiphone使用禁止などのヘッドライン主導の売りだった。

決算で急落した後に買い直されてきたアップルは中国発のヘッドラインで二番底を付けに行っている。先週の記事で取り上げたNVDAの500ドル近辺で指数も重くなるとの観測も正しく、NVDAが2度目に500ドルに近付いたタイミングが指数の売り場でもあった。長期金利が高止まりしているが、それは先週の記事で想定した通りであり、それが株式市場まで不確実性を拡散させないのも想定した通りである。むしろ米ドル高が少し悪さをした。



CTAポジションなどのチャートは今週流れて来なかった。システマティック勢を振り落とすような大幅なドローダウンは起きておらず、指数の2%どころか1.5%セルオフも94日連続で見られなかった。しかしそれでも中国や欧州発の懸念でヘッジ需要がありプットは高くなっている。ヘッジが今年ここまで基本的に機能してこなかったにもかかわらず、である。これが再びワークしなかったと分かればショートカバー要因になるだろう。

GSによると先週のテックと半導体のクラッシュではHFがここ6ヶ月で最大規模のショートを放り込んでいる。これが今週以降も続いて例えばAAPLが早速底割れするなら弱さが目立つ形となるが、結局下値を割れないならショートカバー圧力になって返って来る。


NAAIMは少し跳ねたところで早速悲観化しており、引続きこれだけ見ていると買いに見える。日柄は9/13に米国CPI、9/14に小売売上高が続くマクロ週になる。9月発表のCPIが昨年は苦しいクラッシュのきっかけになったことが記憶に新しく、また9月後半は歴史的にもあまり強くない。代わりに金利が低下し始めれば株式も一段と買いやすくはなるものの、上値を伸ばした後に「マクロな懸念がなくなったからもう売る理由がない」などと言って上値を追いかけるとドローダウンの直撃を受けやすいだろう。
テクニカル。低Volレジーム入り前提の4470近辺はあっさりブレイクされているがレンジが続くとの見方は堅持する。二大テックもそれを示唆している。下値は4328が引き続きサポートとなる。テック周りだけ見ているとこの下値が既に首の皮一枚になっているが、指数の中でセクターローテーションが進んでおり、S&P 500で見ると4328までまだ距離がある。上値では4480近辺まで上昇した50SMAが(サポートと思っていただけあって)レジスタンスになっているが、50SMA自体は上向きなので上値をそこまで重くするわけではないし、早期にブレイクできれば一気に堅調に見えやすいだろう。仕掛け的なショートが続いているかどうかは、毎日高寄りから数時間以内に売りが降って来るかどうかから確認することになるか。システマティック勢の売りなら午後から引け値にかけてだろうが、今のところ動いていない。下値だけは叩く必要はないだろうとの見方も維持する。
これより先はプライベートモードに設定されています。閲覧するには許可ユーザーでログインが必要です。
この記事は投資行動を推奨するものではありません。