S&P 500は一度反発したものの上値の重さを再確認した形になった。特にナスダックは重く、ナスダックの投資家はシーズナリティを気にする必要があった。アップルの新製品発表会は叩かれがちであるし、9月のOp Exも過去パフォーマンスが最悪だった。S&P 500自体で見るとディフェンシブへのシフトが進んだだけで指数としては一進一退の範疇に入っている。CPI、PPIと小売売上高はゲームチェンジャーになり得るはずがないので無反応だった。ECBはサプライズ利上げが出てきたが、いずれにしても利上げ終点は近いとの観測になり一時は出尽くしになりそうな雰囲気だった。もっともサプライズなのにいきなり出尽くしなどという都合のいい話はなく、金曜は改めて一直線に売られて終わっている。
先週の記事ではレンジビューとしていたが、S&P 500に限ってはレンジと言い張れる状況が続く。下値を叩くほど弱いわけではなく、4500より上でポジションを外せない機会がなかったわけではないが、何をどう間違えてもECBを出尽くしと認定する上値追いだけはあり得なかった。AAPLは相変わらず首の皮一枚つながった状態であり、NVDAは下値を切り下げつつある。このあたりがこれだけ弱いと「金利上昇に逆らったAIバブル牽引の業績相場」にだけはなり得ないだろう。
DBのポジショニングはやや落とされた状態を維持している。(直近の調整にもかかわらず)システマティック勢がポジションを高い水準に維持している一方、裁量勢の売却が目立つ。
Volコントロールはほぼ満タンまで戻ってきた。
GSのS&P 500リアライズドVolは低下しており、システマティック勢が売りに回らない背景を説明する。今の指数が概ね横ばいが続くのとも整合的であるが、今後は1日2%の下落があればVolコントロールが、トレンドが再び下向きになるとCTAがそれぞれ売ってきやすいだろう。
原油価格の上昇に伴い短期のインフレスワップは再び上向いているが、金利上昇にもかかわらず金利発のボラティリティ(MOVE)は低迷している。他の要因が軒並み指数の弱さを示唆する中で、サポートとなり得るのは唯一、ボラティリティ低迷継続が挙げられる。
フォワードEPSは期を固定すればNVDA決算でガクッと上がって以来横ばいが続く。しかし成長予想は変わっていないので、時間が経つにつれて1年先EPSはロールアップしている。
債券と株式は再び正相関になっており、経済指標に限ってはgood news is bad newsになりやすい流れを説明する。雇用統計やCPIでディスインフレーションの進捗を確認しても金利が下がることだけはなかったので、逆はなかなか見られない。つまりEPSの横ばい化と共に指数は再び債券化しているということであり、EPSのロールアップより長期金利上昇のスピードが速ければ指数は下落しやすくなる。
シーズナリティは9月後半に入って悪化しつつある。自社株買いブラックアウト期間も始まりつつある。元々金利上昇で自社株買いは減り始めている。FOMCが控えておりECBと違ってこちらはサプライズを見込んでいないが、最近FOMCを通過して大幅に上昇するパターンもあまり見られていない。翌日には日銀が控えている。
テクニカル。週足は実体もそれなりに長い上ヒゲ陰線となっており、8月末の大反発以来の2本目の週足陰線となる。大反発の後に高値追いする脳死ブルが足りなそうなチャートになっており、4512は週足レジスタンスになる。ナスダックでは14000がそれにあたり、先週2度も陽線で試して失敗したこの水準をブレイクできないと話にならない。逆に何かの拍子でブレイクできたらその時は恐らく機械主導で上値追いが再開することになるか(ただし先週の記事で一つのケースとして挙げた50SMA上抜けは戻り売りの餌食になった)。サポートは相変わらず4328である。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。