SPX technical
 S&P 500は昨年9月を彷彿させる豪快な下落に見舞われた。大幅下落した後にぶん投げたり相場の危険性を警告したり、レバレッジをかけすぎた投資家を擦ることは誰でもできるので、投資家たるものは遅くとも前の週の時点でこの下落を予想できていないといけない。先週の記事では
「何をどう間違えてもECBを出尽くしと認定する上値追いだけはあり得なかった。AAPLは相変わらず首の皮一枚つながった状態であり、NVDAは下値を切り下げつつある。このあたりがこれだけ弱いと"金利上昇に逆らったAIバブル牽引の業績相場"にだけはなり得ないだろう」
「債券と株式は再び正相関になっており、経済指標に限ってはgood news is bad newsになりやすい流れを説明する。雇用統計やCPIでディスインフレーションの進捗を確認しても金利が下がることだけはなかったので、逆はなかなか見られない。つまりEPSの横ばい化と共に指数は再び債券化しているということであり、EPSのロールアップより長期金利上昇のスピードが速ければ指数は下落しやすくなる」
「シーズナリティは9月後半に入って悪化しつつある。自社株買いブラックアウト期間も始まりつつある。元々金利上昇で自社株買いは減り始めている。FOMCが控えておりECBと違ってこちらはサプライズを見込んでいないが、最近FOMCを通過して大幅に上昇するパターンもあまり見られていない」
「テクニカル... 大反発の後に高値追いする脳死ブルが足りなそうなチャートになっており、4512は週足レジスタンスになる。ナスダックでは14000がそれにあたり、先週2度も陽線で試して失敗したこの水準をブレイクできないと話にならない」

とあらゆる視点からベア全開であった。
Bloomberg All major assets
Bloomberg Bond Stock Correlation
 直接のきっかけになったのはFOMC前後の金利上昇であり、特にFOMCがタカ的な据置きになったのを受けて債券と株式のダブル安となった。株式の債券化に伴い債券と株式の相関は再び正になっている
AAPL NVDA SP500 heatmap
 AAPLだけは新製品発表後のアノマリーを受けて比較的堅調であり、前回の記事で描いたボックスの中で首の皮一枚が続く。ナスダック全体も同様である。
zerohedge GS CTA 
MS CTA Position Forecast
 恐らくチャートが下向きになったのを受けてCTAが再び売りに転じやすくなる気がしているが、そうでなくとも、GSでもMSでもCTAの今後の動きはやや下方向に寄っているとする。
GS SP500 sessions without selloff
DB Vol Control Sensitivity
MS Systematic Flow Triggered by 1d rtn
 Volコントロールが売りに回っているとする直接的な根拠は流れてきておらず、また本ブログが一貫して警戒してきた1日2%以上の下落も起きていないが、1日1.5%の下落がない日は木曜に102営業日連続で記録が途切れた。モルスタが挙げたように、1日の大幅下落はこれだけの機械的な売りを誘発し得る。とにかく低Volレジームの維持が上昇トレンドへの復帰の前提である。
Bloomberg Risk Parity ETF
 債券と株式のダブル安はリスクパリティ戦略のパフォーマンスを圧迫している2018年年初は金利上昇がリスクパリティの投げを誘発してVIXショックを引き起こしたが、順序としては感度の高いVolコントロールの方が先だろう。
GS Prime Book Positions
GS US Fundamentals LS net Leverage
 GSのHFプライムブックポジショニングは半導体などを中心に大きく売りに傾いている。これは潜在的にはショートカバーニーズに転換し得ることは記憶に値するが、それが上手く行っている間はあまり起きやすくないだろう。
DB data Discretionary positioning and data surprises
 一方、DBの裁量勢は経済の好調さの割りには慎重であり、足元の相場に適応している。これからの時間帯は機械勢の売り対人間の買戻しになりやすいのではないかと思われる。
BofA FMS cash allocation
 FMSのキャッシュレベルは久々に5%を下回ったためこの指標のみからの逆張り買いシグナルは消えることになる。
Bloomberg Strategist forecast 
 ウォール街のストラテジスト達はS&P 500のラリーに遅れて年末予想を引上げてきたが、指数は直前まで上がり続けている予想値を下に切りつつある
NAAIM
 NAAIMは依然悲観的であり、少なくとも売りを示唆するわけではないが、先週に限っては値動きに負けてしまう。シーズナリティは9月末にかけてが最も弱く、10月に入ると改善しやすそうである。
GS SPX Gamma
MS dealer gamma
 テクニカル。8月の時点で想定していたパターンの一つではあるが、日足で大きなヘッドアンドショルダーが完成してしまっている。右肩の4500が改めてレジスタンスとなるが既に遠くなっており、先週ではなく今更H&S完成でベア転するようでは遅すぎた。4328のサポートはFOMC当日にはワークしており、木曜は大幅下落にもかかわらず精密に4330で安値引けしている。その後時間外からNY寄付きにかけて一旦反発したように見えたが、金曜の引け前にかけて再び降ってきた売りで4328サポートはついにブレイクされた。本ブログの勝手な分類では引けにかけて売ってくるのはシステマティック勢ということになっており、それは実際FOMC後の大幅な値動きで警戒に値するものだった。日足では金曜の日足上ヒゲ陰線の上限4357も最も近いレジスタンスとなる。ナスダックでも日足上ヒゲ陰線が2本並んだ。金曜引け前の売りが一過的なもので後が続かなければそのまま忘れ去られるパターンも考えられるが、それと売りが続くパターンの分水嶺は4357ということになり、そこをブレイクできればチャート的には一度反発する余地も出て来るが、それでもヘッドアンドショルダー右肩の4550までの区間では、主にNY午後から引けにかけて戻り売りに遭いやすいだろう。下値は200SMAが4190、4210には9/30にエクスパイアを迎えるJPMカラーのプットストライクが位置しているが、ディーラーがプット売りサイドなので、仮に続落パターンになった場合、4210に近付くにつれて吸い込まれる可能性も警戒を値する。もっともその場合の吸引力は月末引けで消滅するだろう。指数が債券化したので金利低下は指数反発の必要条件となるが、十分かは分からない。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。