S&P 500はシーズナリティと日柄通りに一度下値を伸ばした後に戻している。前回の記事ではCTAとVolコントロールが売りに回るリスクが高く、またディーラーがネガティブガンマで残されていた構図と、シーズナリティとテクニカルの悪さから「下値は200SMAが4190、4210には9/30にエクスパイアを迎えるJPMカラーのプットストライクが位置しているが、ディーラーがプット売りサイドなので、仮に続落パターンになった場合、4210に近付くにつれて吸い込まれる可能性も警戒を値する。もっともその場合の吸引力は月末引けで消滅するだろう」と月末までに4210に向かって吸い込まれる展開を、4300台の時点から警戒した。週明けから指数は4210に向かって動き始めたが届きはせず4239が安値となった。そこから一旦跳ね始めると月末までの4210がすっかり遠く見えたためショートカバーを誘発して一度は4300台中盤まで迫った。もっともそこからは週末に控えていた、繋ぎ予算案が通らないことによる米国の政府閉鎖懸念などでヘッジが再び入り、金曜は陰線で引けている。週末の間に繋ぎ予算は成立しており、政府閉鎖懸念は一旦は消滅した。
先週の記事で「指数の債券化」を取り上げた通り、S&P 500は明らかに長期金利を意識しながら取引されている。長期金利が大幅に上昇した水曜に指数は底値を付け、木曜に反転すると指数も反転上昇し、金曜に金利が再び跳ねると指数は売られた。大幅に動いた週だったが大幅に動くこと自体はディーラーのネガティブガンマから簡単に予想でき、長期金利と4210だけ意識していれば特段分かりづらかったわけではない。
DBのポジショニングは小動きが続く。
一方GSはCTAが9月後半に株式を売っていると推定する。この売りが9月いっぱい続いた後に10月に入ると止まり、その後はあまり続かないと推定されている。
プライムブックはHFコミュニティが大規模なショートを入れたことを示唆する。このあたりの評価は前回の記事と同様である。
ディーラーは2020年以来最大規模のネガティブガンマになっていたとGSは推定する。
NAAIMはさすがに大幅に悲観化しており、再び総悲観に近くなっている。シーズナリティは10月に入ったことでかなり改善する。今週はまたISM等のマクロの週になるが、経済指標は「ハードデータが弱く、ソフトデータが強い」時期に入りつつあるようで、やや素直に反応しづらくなっている。
テクニカル。これほど綺麗に完成された日足ヘッドアンドショルダーに逆らうのはさすがに愚かしい行為だった。JPMカラーの存在も合わせると4200前半は当然想定できていないといけなかった。もっともカラーのプットレグ4210自体には残り1%弱で届いていない。届かないままエクスパイアしたということでその分のネガティブガンマは消滅したと考えてよいのではないか(吸引力消滅)。ヘッドアンドショルダー右肩の4550は引続きレジスタンスとなる。JPMの新しいカラーは3420プット売り、4055プット買い、4515コール売り(毎回執行直前にオーダーをずらすみたいで多少の乖離は諦めている)となっている。ということは4515 -4550は相当強烈なレジスタンスとなると思われ、テクニカルには年末までに超えるのはかなり厳しいように見える。下値はまだ固まってはおらず、S&P 500とナスダックの金曜高値4350 / 13400を超えてはじめて反発に入ったと認められる。それさえも超えられなかったら先週後半のショートカバーはS&P 500のヘッドアンドショルダーのネックラインで反落したと見なされてしまう。反発余地は金利次第でもあるが、ショートカバーとシーズナリティ、ディーラーのポジショニング改善で頑張って下向きになり始めた50SMAの4450あたりだろうか。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。