S&P 500は想定を超える大幅下落となった。前回の記事では4284 -4385の100ポイントレンジを意識していたが、週明けショートカバーの高値は4394とイメージと近く、そこで反転してからの下値は想定したレンジを大きく下に突き抜けた。
週明けは週末リスクヘッジのアンワインドでややリスクオンで始まったものの、火曜の小売売上高は堅調だったため長期金利が再び上昇し、更にNVDAの中国向け輸出制限のヘッドラインもあって一度指数は安寄りしたが、再びショートカバーに見舞われた。ラリーできたのは、事前でよかったら金利上昇、悪くてもグッドニュースにはならないという算段を立てやすかったからだろう。もっとも指標を通過したと思われた後の3日間は勢いよく売られている。長期金利の上昇が続いていたため、債券化したS&P 500がラリーしたところは安心して売れたようである。木曜のパウエル議長の講演も一旦は買戻しのきっかけになったもののそこでも売りに押され、金曜は更に豪快に売り込まれた。NFLXは決算で跳ねたが指数を持ち上げるには至らず、ナスダックだけでなく、好決算から始まった金融もMSの決算などで弱く、ディフェンシブ優位になった。
GS CTAはこれまで追ってきたように多少は買い戻している。もっともトレンドが上向きにならなかったこともあって、買戻しも限定的になっている。リアライズドVolは一層の上昇を見せていない(1日2%の下落はまだない)ためVolコントロールの一層の投げもまだ誘発されていないが、イントラデーVolは上昇している。高寄り・安寄りの否定が多いということか。
DB CTAもGS CTAと同じ示唆である。
GSのプライムブックはラージテックこそ買い戻したものの、非ラージテックに対してはショートを積み増している。
EPS予想は今年分も来年分もわずかながら下向きになっており、その下落が23年~24年のロールアップを打ち消す形で直近の1年フォワードEPSは上向きから水平になっている。これはS&P 500の債券化、つまりEPS主導の業績相場にならないので金利が下がらないとS&P 500が上がらない現状を正当化するものである。EPSが大きく下方修正されているのは4Q2023(1月の決算期の分)であり、それが2023年通年を引下げている。決算サプライズに対する値動きのリアクションは他の要因にかき消されがちというものあるが、ポジティブでも売られ、ネガティブでは大きく売られた。EPSへの期待が高すぎるというより、様々な懸念要因を好決算のみで跳ね返すのがきついということだろう。
S&P 500の債券化に伴い10年金利との20d相関は引続きマイナス域で安定している。
NAAIMは値動きにもかかわらず楽観化しており、これだけ見ると裁量ポジションの損益悪化による低迷の長引きを示唆する。日柄としてはOp Exを通過しており(ただし最近Op Exの通過はトレンド反転に繋がって来なかった)、また決算も佳境に入っているためブラックアウト明けも近い。日柄だけが味方である。
決算は火曜引け後が見ものになるか。先週ワークしなかったとはいえ、GAFAM決算は売り込まれたところからのショートカバーのきっかけになり得るとは引続き思っているものの、今のところ跳ねたところは結局戻り売りに遭いやすかったわけで、その流れを変えるほどではないかもしれない。
テクニカル。「遠い」としていた4216は目前に迫っているが、週末ここで止まったということは一応サポートらしい働きをしたと言えなくもない。しかし週足は2本前の下ヒゲ陽線を否定できる上ヒゲ陰線になったため、4216はただの目安でしかなくなってしまう。新たに上ヒゲの4393が週足レジスタンスとなる。チャートは非常に醜く、4300台はもし再びあれば売り場となるだろう。下値の方はややオープンになっており、逆張り水準の決め打ちは危険である。少し前にNVDAの500ドルレジスタンスがワークしたように、NVDAの400が突破されるかどうかを見守る形となる。この銘柄さえも崩れるようなら、「景気が強いからEPSが伸びる」程度の薄弱な根拠で株式指数が金利上昇に逆らうなど夢のまた夢である。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。