
S&P 500は週足で2本目の上ヒゲ陰線となった。週明けこそビル・アックマンの債券ショートカバーのツイートで金利が低下したことを受けて株式も買われ、翌日も重要な決算を前に堅調だったのだが、S&P 500は4260、ナスダックでは13200あたりで頭打ちになった。先週の記事では「チャートは非常に醜く、4300台はもし再びあれば売り場となるだろう」としていたが、方向性はともかく4300には届かなかった。そこからのGAFAM決算は金利上昇で割高化したバリュエーションから許されづらかった。

決算については火曜引け後はMSFTが文句なし、GOOGLはやや不振だがそこまででもないという組合せで、時間外は差引きでナスダック先物が少しマイナスといったところだったが、現物がオープンするとナスダック全体がブチ売られた。その後のMETAもまた決算自体は問題なかったもののガイダンスが弱気だったことから木曜もナスダック全体がブチ売られた。木曜までにGAFAMを中心とした大規模なバリュエーション調整が行われ、その態勢で迎えたAMZNはこれまた文句なしによかったため金曜はようやくナスダック優位にリバーサルした。一方で同日シェブロンとフォードがド滑りし、更に中東情勢に向けたヘッジが必要になったためS&P 500はスルッと下値を拡大している。先週の記事で「下値の方はややオープンになっており、逆張り水準の決め打ちは危険」としていた通りである。


GS CTAはトレード・サイクル的にはボトムにあり、あとは買戻ししかない。DBも10/19時点で19%パーセンタイルになっている。もっともモメンタムは強い下向きになっているので実際に買い戻しが始まるにはきっかけが必要ではないか。

バークレイズによるとコールのスモールコントラクトの買いが低迷している。個人が押し目買いしていないということである。


JPMによるとここまでEPSのサプライズ自体は悪くないものの、売上げの不振をコストカットで補っている構図が目立っており、またガイダンスの引下げが増えている。後者はBofAも取り上げている。

MSによるとリビジョン・インデックスは下向きになった。

EPSコンセンサスは2023Q4予想が大きく下落しており、直近の株価下落は金利上昇だけでなく業績面からも説明される。現に週後半は金利が小康状態に入ったにも関わらずS&P 500だけは下がり続けた。もっとも2024年分を含む1年後のフォワードEPSまでスコープを広げると、まだロールアップ込みのフォワードEPSが上向きからフラットになっただけである。

各資産のインプライドVolを見ると、最初は金利(MOVE)発であったが、MOVEの上昇が止んだ後にVIXが上昇し始めた。

NAAIMは2022年10月以来の総悲観になっている。先週の楽観化はアホだったが、これだけ見ると下値を叩くのも腰が引けて来る。

NAAIMと、シーズナリティだけは味方である。次は残っているAAPLの決算、ISM、FOMCそして日銀決定会合が控えており、マクロの週に切り替わる。

テクニカル。引続きチャートは醜悪なものになっている。2本目の週足上ヒゲ陰線の高値4260が新たにレジスタンスとなる。ナスダックでは13170がそれにあたり、更に金曜の反発が日足200SMAを超えられなかったため12770もスモール・レジスタンスとなる。日足では200SMAをがっつり下に切っており、それを理由に更に長期トレンドが反転したとする声も出てきた。先週に引続き下値余地はオープンであるが、一応週足200SMAの3940がサポートとなるか。昨年を含む2011年以来の「リセッション懸念」程度の下げは週足200SMAに止められており、パンデミック・クライシスだけは一時的に深く下に突き抜けている。引締めに行きすぎによるリセッションへの確信が急に膨れ上がらない限りは週足200SMAではサポートされるだろう。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。