先週はマクロの週となったが、ディスインフレーショナリーな指標群が大幅なショートカバーを招いた。週明けは日銀の政策変更のリークが再び流れてS&P 500も一度小さな穴を掘ったが概ね静かだった。水曜発表のISM製造業はド滑りし、それを受けて長期金利が5%近辺から離れて大幅に低下した。確かにISM前は恐らく警戒が強く、よければ金利上昇でバースト、悪くても本当にグッドニュースになるのか?と心理的にヘッジを入れやすい構図だったようにも見え、綺麗な金利低下は株式のショートカバーのきっかけになった。翌日もショートカバーは続き、ARKKは8%上昇した。木曜引け後のアップル決算はまたしても滑ったが、金曜寄付き前の雇用統計はまたしてもディスインフレーショナリーであり金利が更に低下したため、アップルの悪影響はかき消された。週を通して6%近い大幅ラリーになった。
S&P 500は4/27以来初めての+1.5%を超えるラリーとなり、2000年以来8回しか発生していない「124日間の無ラリー連続記録」に終止符が打たれた。
ISMがもたらした米金利のショートカバーがありとあらゆる資産のショートカバーを誘発したようである。VIXは一週間で20台から15割れまでクラッシュした。想像以上の壮大なショートカバーになったのは、想像以上に金利が下がらないことがコンセンサス・トレードだったからか。側からは国債金利が際限なく上がり続けることなどあり得ないので、何もないところでいきなり転倒したようにしか見えないが、マクロに造詣深い人達の考えることはよく分からない。
GS CTAは明らかにラリーに取り残されている。前回の記事では「トレード・サイクル的にはボトムにあり、あとは買戻ししかない」としつつも「もっともモメンタムは強い下向きになっているので実際に買い戻しが始まるにはきっかけが必要ではないか」と余計な心配をしていたのだが、一旦上向きになると買戻し圧力は実現する。CTAはショートカバーの燃料の一つになっただろう。
一方、DB positioningはそこまで落ちていない。
急速な水準改善によりディーラーのガンマも大きく改善した。CTAといい、急落への備えが強制的にできてしまったようなものである。
GSのMost Short Basketは最も勢いよく噴き上がったセクターの一つであり、先週のラリーがショートカバーであったことを鮮明に示唆している。ファンダメンタルズ・ショートも焼かれたわけである。
今決算期のサプライズは概して悪く、各銘柄の決算日パフォーマンスも順当に悪い。2023年EPSはコンセンサスは更にクラッシュしており指数の値動きと乖離している。フォワードEPSは2024年に向けたロールアップ込みで概ね横ばいになっている。つまりいまだに債券化しているため金利に従って動く。
シーズナリティの11月はロングの味方であり、ようやくシーズナリティ通りに復帰しつつあるように見える。上向きになるとすれば年末アノマリーに戻るパターン、そして業績には期待できないもののとにかく金利が下がった2019年パターンに入れるかどうか、というところである。
NAAIMも置いて行かれている。先週の記事で「先週の楽観化はアホだったが、これだけ見ると下値を叩くのも腰が引けて来る」としていた通りであり、そしてまだ悲観のまま取り残されている。
テクニカル。先週の記事で触れたレジスタンスは全てぶち抜かれており、一時的にさえ役に立っていない。サポートとしいて挙げた3940に近付く気配すらないまま週明けから上昇に転じていた。週足は陽転しており4100はサポートとなる。レジスタンスとしてはダウ理論の帰趨を分ける前回高値4400が一応挙げられる。それを超えられないまま反落したら「ベアマーケット・ラリーだった」ということになる。その上では、今サイクルの下落が始まる前に挙げた「4515 -4550は相当強烈なレジスタンスとなると思われ、テクニカルには年末までに超えるのはかなり厳しいように見える」は堅持している。水準的には時間が巻き戻ったので再び売り場がやってきたように見えるものの、ショートを入れてこの間の急落の二匹目のドジョウを狙うことは誰でも思い付くので、そんなにすっきりとはワークしないだろう。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。