SPX Technical
 S&P 500は懸念していた通り、年末を通過してゴルディロックスからアンチ・ゴルディロックスに鮮明に反転した。ナスダックが集中して売られたため多くの市場参加者にとっての体感はもっと下落していたようなものだろう。前回の記事「7月とのチャートの相似が破られたとはいえ、センチメント的にはベアの論理の否定が浸透しはじめたタイミングではありそうだ。ショートカバー需要も年末を跨ぐとは思われず、2021年~2022年のように新年を機に一度仕切り直しになる可能性も考えられる。マクロ的には月初なので再びISMが控えている」「年末のチャートは閑散なうちに作られたものであり、年始になって束縛されすぎるのも好ましくない。高い位置でドブルのセンチメントで始まるため、慎重に年始を迎えたい」としていた通りである。まず年明け一発目にバークレイズによるアップルの目標株価引下げが炸裂し、その後も逆回転が続いた。週末の雇用統計とISMサービス業は警戒されていたが、通過と共にヘッジ外しが優勢になった。もっともその後は4700台は全て売り場と言わんばかりに更に売りが降りかかり、ほぼ安値引けとなっている。
Bloomberg SPY TLT LQD 4days into a year
 年末にかけて低下していた金利も戻しており、全体的にアンチ・ゴルディロックス色が強まった。年末にかけて4%を大きく割り込んだ長期金利が再び4%に載ったのは株式指数の不確実性を高めた。最初の4営業日の株式、国債と社債が一斉に下落したのは2022年以来となる。昨年のチャートがあまりにもシーズナリティをなぞっていたのは話題になったが、年末年始はすっかり2021年〜2022年に似てきている。奇しくも水準も似ている。
Dow Jones 1st 5 days
DB January Anomaly
 年始4営業日や5営業日のパフォーマンスが年間のパフォーマンスを決めるアノマリーもあり、年初から下落が続くと年間アノマリーまで暗転するとの声が増えた。このあたりは当たるも八卦当たらぬも八卦であるが、昨年もシーズナリティをなぞるやり方が上手く行ったのを覚えている市場参加者が多いはずである。
GS CTA
HSBC CTA
 GS CTAはすっかりショートカバーが済んでおり、ポジションがロングに偏っている。HSBCのCTAも概ね同様である。12月中の上げはほとんど機械勢のショートカバーで説明できるだろう。今後はトレンドが強く下向きに出ればCTAもフリップする可能性がある。
GS Dealer Gamma
 ディーラーのガンマポジションも12月中はロングガンマに傾いていたと何度も触れたが、指数の下落につれてネガティブガンマに近付いていく。
Factset Bottom Up EPS
 久々にボトムアップEPS。2023年も2024年も低下が続いており、それをロールアップで補っているのは以前と変わらない。
Insider Transactions Ratio
 インサイダーは2023年中に見られなかった水準の売り越しとなっている。
NAAIM
 NAAIMは先々週の総楽観が直ちに調整に繋がった形になる。先週だけでなく先々週の記事でも「NAAIMは一気に楽観化しており、降り時が近いことを示唆する」としていたように、NAAIMは今サイクルのトレンド反転のリズムを実に正確に示唆した。先週はさすがに大きく調整しており、1週間前よりはだいぶオッズがよくなったが、悲観域まで達したわけではない。

 テクニカル。先週の記事で取り上げた4698は木曜には一度サポートとしてワークしたかに見えたが、結局4700台では売りが降りかかり、それが引けにかけて加速して4698をブレイクしつつ日足上ヒゲ陰線になった。金曜も一度はショートカバーで上値を試したが、木曜の上ヒゲ手前で失速して下値を掘った。これまでの値動きから木曜の上ヒゲ4730は日足レベルのレジスタンスとなり、これを早期にクリアできないと下値が脆くなっていく。クリアした場合も週足レベルでは上値が重くなっており、4800は週足レベルのレジスタンスになるため、基本的には4700台半ばから後半にかけてはリスクやレバレッジの落とし場となる。何もなかったかのように4800台に再び載せたらまたその時に考えればよい。サポートは4600台には見られず、50SMAの4540が挙げられるだろう。4500台は本ブログも昨年の天井として想定していた水準なのでそこから置いて行かれた投資家もある程度いると思われ、早期に4540まで割るような調整は材料がないため想定していない。
VIX
 今週はCPIとPPIの週間となる。CPI・PPIはスコープから外れて久しいため、直前にヘッジ・直後にヘッジ外しラリーのパターンにはなりづらい気もするが、果たして。VIXには良くも悪くも緊張感が見られない。もし今週も続落となった場合の底打ちは19日のOp Exを待つことになりそうだ。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。