S&P 500はさすがにメガテック決算とFOMCが合わさった週らしい値動きとなった。先週の記事では「4907を上にブレイクしたら追いかけてもバチが当たらなそう」としていたが週前半はテクニカルに従い上に飛んだ。しかし「それでも引け後にヘビーな決算が控えている場合は都度都度NY引けに処分した方が安全である」としていた通り、火曜引けに処分しておくオッズがあまりにもよかった。MSFTは無難に通過できたものの、GOOGLとAMDが同時に滑ったことでナスダックを中心に窓を開けて下落し、下落したところで更にFOMCを迎えることになった。
水曜のFOMCについては「FOMCは3月に利下げを予告するほどではないと思われるが、一方PCEの物価目標達成に何らかのコメントをする必要がある中でプッシュバックする必要があるとも思えず、ということは中庸な会合になると思われるが、そうなるとポジショニング次第になるか。現状ではショートカバーは既に一巡しておりダウンサイドへの警戒もほとんどないため若干オッズが悪いようには思えるが、前もって警戒のヘッジが入るならそれは改善するだろう」としており、実際インフレ減速の進捗に伴いプレスリリースレベルでは中庸な会合になったが、パウエル議長が記者会見でそれまでの流れを無視して3月利下げはなさそうと発言したため、アンチ・ゴルディロックス的に指数は底抜けした。
もっともあくまでも株式市場が押すな押すなになったのであり、金利そのものは金曜の雇用統計を確認するまで大して動かなかった。水曜から木曜にかけて更にNYコミュニティ・バンコープの決算で地銀株が大きく売り込まれた。市場参加者は米国商業不動産の調べ物もさせられたが、地銀株ショックは今のところ金融株全体にも広がったわけではない。それを概ね確認できたところで更にMETA、AMZNの決算を堅調に通過し、またAAPLも何とか通過した。その上で雇用統計を堅調に通過したことで金利はようやく豪快に上昇したが、今度は株式市場は決算通過の安堵感の方が強く、アンチ・ゴルディロックスにならなかった。FOMCの急落は押し目で終わった。
結局マグニフィセント7のEPSの伸びが全てを押し流している形になる。
GS CTAは相変わらずダウンサイドの方がインパクトが出るポジショニングになっている。他のシステマティック系ファンドのポジショニングも概ね高位に維持されている。水曜の下落はそれでもS&P 500ベースで1日2%に達せず、機械達が下向きに動き始めたと考える理由はないが、もし1日2%の指数下落が見られたならその可能性が高まる。
DB positioningでは裁量勢とシステマティック勢も似たような振れ方をしている。双方ともに値動きを追いかけて右往左往してきたということか。
NAAIMは更に少し楽観化している。先週も振り落としがあってから過去最高値を更新しているが、楽観域でのオッズにふさわしい動きであったと言える。
決算は一発で指数を動かすレベルのメガテックは大方通過した。決算通過が進むのに伴い自社株買いのブラックアウトも明け始める。
テクニカル。再び過去最高値を更新したためテクニカルには再び上値余地がオープンになる。振り落としを経て週足は下ヒゲ陽線になったため、FOMCで付けた下ヒゲの4845はサポートとなる。先週の記事の4715よりはだいぶ近付いてきた。雇用統計を通過して金利は上昇気味なので引続き足を引っ張られるようなバリュエーション調整の衝動が見られる可能性が残る。また地銀株の急激な値動きにも随時注意を配る必要がありそうである。それでもテクニカルには4845が守られる限り、調整は押し目で終わる可能性の方が高く、下を叩く必要は薄いように見える。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。