SPX technical
 S&P 500は上下に忙しい週間になった。スーパーチューズデーや雇用統計を控えて週明けから上値が重く、更にAMDの中国向けAI半導体輸出が米国政府の介入に直面しているとのヘッドラインで時間外からナスダックが売り込まれたが、先週の記事で名指しした5057サポートでピタリと跳ね返った。もっともその後も水曜は引続き上値が重かったが、木曜にはパウエル議長の議会証言を通過してドル安リスクオンで上値を再び伸ばした。2月中は金利上昇でやや緊張感が伴ったが、3月に入ってからは利下げが大幅に遅れるといった観測や極論が再び剥落した。
SP500 heatmap
 金曜の雇用統計までゴルディロックス気味に返って来ると、いよいよマクロな懸念材料を全て通過したことになるが、S&P 500が5,200に、そして先導株のNVDAが1,000ドルに近付いて恐らく大台狙いのコールがインザマネーに近付いたところで、半導体セクターを中心に利食いに押された。典型的なポジション縮小の利食いに見え、これまで上値を伸ばしたセクターほど売られた。
GS Momentum exposure in HF
 このリバーサルが短期間に終わるかどうかに注目である。GSによるとHFのモメンタムファクターへのエクスポージャーは既に大きい。
GS CTA 
BofA CTA
 GS CTAはフラットシナリオでも緩やかに売りに傾く時間帯に入った。これまでもしばらく存在感がなかったが機械はサポートに回らない。珍しくバンカメが推計したCTAも流れてきているが似たような分布となっている。
DB positioning
 DB positioningは高水準での一進一退が続く。
BofA SPX Gamma
 スポットが5100なので最新のものではないが、BofAによるとディーラーのガンマポジションは5150 -5200にかけて厚く、下値は4900台に入ると減っていく=サポートが弱くなっていく。
NAAIM and GS sentiment indicator
 NAAIMは楽観圏に滞在している。GSのセンチメントインジケーターは再びブルに触れた。
VIX
 テクニカル。金曜の大きめな上下動により上昇の勢いがしばらく削がれるだろう。金曜高値の5189は日足ベースでレジスタンスとなる。5100台半ばは売り直せるだろう。下値はやはり先週の記事でも分水嶺として取り上げており水平サポート感がある5057に注目である。短期トレンドが一度転換するとすればここが最初に狙われやすいと思われ、仮にここを下回っただけで大怪我するようなレバレッジは引続きかけるべきではない。11月以来S&P 500はたまに日足25SMAまで調整しながらじり高トレンドを続けてきた。これまで通りのパターンの調整であれば5040近辺で反発しやすく、それを超える規模の(VIXが20近辺まで上昇するレベルの)調整になるなら50SMAの4924が次のサポートとなる。4924 -5040のゾーンでの売り手は機械になると思われ、例えば1日2%の下げがあって初めて掘り進められる価格帯ではないか。4924まで下に切られるとテクニカルからもガンマ・プロファイルからもやや下値余地が拡大するが、今のところそれを想像できる材料は見当たらない。ずっと述べてきたように振り落としがあった方が健全であるが、もしすぐに5189を回復するようではかなり対処しづらくなる。
EquityClock seasonality
 シーズナリティからはもし3月上旬に調整していれば下旬は反発することになっているが、いかんせん3月上旬の押しはなかったので頼りにならない。調整の日柄の方はOp Exの15日が思い付くが、まだポジティブガンマっぽいのでOp Ex底を援用するのが必ずしも正しいとは限らない。その次は3/19に日銀決定会合を通過するタイミングか。
AAPL
 これまでAAPLが不調になると指数も下落してきたという経験則があるようだが、実際に並べてみると少なくとも週足レベルではシンクロしているように見える。今回AAPLと指数の乖離が激しいものになっているが、これは新たな先導株が登場したためであり、AAPLはS&P 1どころか他の株式を買うための資金の出所にもなっているように見える。

これより先はプライベートモードに設定されています。閲覧するには許可ユーザーでログインが必要です。


この記事は投資行動を推奨するものではありません。