先週のS&P 500は高値圏でレンジとなった。先々週末の利食いの勢いは続かず、5040サポートには届きそうにもなく一旦は「初押しは買い」になった。CPIを通過すると金利は上昇したものの、出尽くしの勢いの方が強く、指数は引け値ベースで過去最高値を更新した。もっともザラ場ベースでは更新せず、5189レジスタンスはワークした形となる。その後はポジティブガンマ相場らしくピンの5150に纏わり付いた。前回の記事は調整が先行するケースばかり想定していたためOp Exを下落からの上昇反転のタイミングとして考えていたが、実際にはむしろOp Exまでポジティブガンマで5150ピンに張り付いた後、ポジティブガンマの消滅で5150から離れやすくなった展開に見える。
ここまでの上昇を先導してきた半導体は一歩先に小さな日足ヘッドアンドショルダーを作って調整入りしている。木曜はSOXの下落をMSFTの上抜けがオフセットした形となるが、MSFTの上抜けは材料を伴ったものでもなく、出来高を伴ってレンジ内に押し戻されている。上抜けを見てニューエントリーされたポジションは取り残された。
前回の記事では25SMAが指数を支えてきた構図を取り上げたが、同じような考え方で、SPYに2%のドローダウンがなかったマーケットが96営業日にわたって続いている。
DB positioningは引続き高い水準で一進一退を繰り返す。
EPSセンチメントは改善中であり、調整はあってもリセッショナリーな大暴落を正当化しない。
オプション取引が再び盛り上がり始めており、株式の取引高を上回った。これは2021年11月以来となる。
NAAIMとGSセンチメントインジケーターは同時に上抜けている。木曜までで見ても実際の上昇の勢いが続いたわけではないので、センチメントだけ見ると調整が差し迫っているように見える。
金利の再上昇もあり全体的にナスダックを中心に売られやすかった。今週はFOMCが控えている。既に短期金利市場の織込みは年内利下げ3回と前回FOMCのドットプロットと並んでおり、従ってFOMCがドットプロットを再引上げしない限りタカ的なサプライズは難しい。もっとも再引上げ懸念も流れている。1月以来S&P 500が利下げ期待の後退に逆らって上昇してきたのは半導体バブルのおかげであるが、肝心の半導体は既に一足先に調整に入っている。従ってFOMCまでに高値を維持してしまうと、たとえ変更なく通過したとしても上値追いに勢いを付けるのは難しい。先立って十分な値幅を調整していればイベント通過となるシナリオも考えられるものの、その後まで含めるとオッズがよいわけではなく、基本的に振り落としがあった方が健全という見方に変更はない。
テクニカル。週足はついに上ヒゲ陰線になった。5189に加えヒゲの5180もレジスタンスに加わる。ナスダックは16275がそれにあたる。「初押しは買い」の初押しは既に終わった。前回の記事で「5100台半ばは売り直せるだろう」としていたのは維持する。これまでの週足サポート5040は週足が陰転したため頼りにならず、代わりに50SMAは4962まで上がってきたため、4962 -5040のどこで下落が食い止められるか。このゾーンでの売り圧力になるのは機械と高値追いで取り残された短期ポジションのロスカットと思われる。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。