SPX Technical
 先週のS&P 500は高値波乱になった。ISM製造業が好調だったことから長期金利が上昇し、2日間にわたって株式指数に悪影響を与えた。まさに前回の記事「期末から期初に変わるタイミングであり、1月のように一旦売られて始まっても驚かないようにしたい」とした通りである。もっとも下値では押し目買いも根強くISMサービス業が失速すると一時ゴルディロックスになった。木曜も高寄りからのラリーが続くかのように見えたものの、急に売りに押され2%近い長さの大陰線を作った。昨年11月のボトムアウト以来一貫してサポートとなっていた25SMAも一度ぶち抜いた。もっとも金曜には雇用統計通過のヘッジ外し(Vol剥落)で堅調さが幾分か戻って週末に入った。木曜の下げの背景はカシュカリなどの利下げ疑問発言とも言われているが、上がり続けた長期金利はむしろリスクオフで下げたので今一つすっきりしない。地政学リスクの高まりもあったという。
TNX
 週を通して長期金利の上昇が目立った。来週以降もこれが続くと株式指数の上値を圧迫しそうである。これに伴いセクターではエネルギーが優位であり、先週の記事「新しい期に入ってS&P 500の値持ちが引続きいいとしてもそれはディフェンシブ系主導に変わる可能性がある」と想定していたシナリオの一つではあったものの、だからと言ってテックも崩れるほどにはなっていない。
GS put volume
GS QQQ put volume
 木曜のクラッシュではプット買いが盛り上がったが、セリング・クライマックスというほどの盛り上がりにはなっていない。
Bloomberg VIX
Bloomberg MOVE VIX
DB vol control sensitivity
 値動きの割りにVIXは高止まりした。これは金利市場由来の不確実性(MOVE)が下げ止まったために見える。ここにも金利が株式に悪さしているのが見て取れる。Volコントロールのポジションは比較的重く、2%以上の下落があれば売りに回る動きが目立ちそうである。
BofA Implied CPI move
 今週はCPI週となる。CPIは最近金利上昇イベントになることが多く、指標前はヘッジが入りやすそうに見える一方、CPIデーでS&P 500が1%以上飛ばなければ通過そのものがボラティリティの剥落になるだろう。いまや金融政策のゲームチェンジャーになれるのはCPIだけであり、それに比べて雇用統計はすっかりどうでもよくなっている。
NAAIM
 NAAIMはさすがに少し悲観化しているが、まだまだ楽観域での一進一退の範囲である。
GS Tax Day Seasonality
 4/15の納税日に向けて直前の週は株式のパフォーマンスが悪いアノマリーが知られている。従って今週は少なくとも上値追いをする必要はなさそうである。
SOX
 テクニカル。SOXを足掛かりにしていたのは最悪であり、分水嶺としていた5000を一瞬だけ突き抜けてからクラッシュしていた。ナスダックの16476も同様である。5100サポートだけはワークしたが、だんだん5100前半の水平サポートが分水嶺として出来上がって来る。25SMAは11月以来初めて下にブレイクされているため「25SMAにすら届かないじり上げ相場」は終了したと解釈され、VIXも示唆するように、これまでの数ヶ月の低Volじり上げから一段とボラティリティが上昇する可能性がある。5200台後半は依然重い。何かの拍子で5100を割った場合は一段と調整余地が出て来る。
SPX technical
 上げ相場での大陰線は昨年7月末と12月に見られている。金利上昇が伴ったケースは前者であり、類似する展開を辿るとすれば数日何事もなかったかのような小動きが続いた後にクラッシュすることになる。前者との類似が払拭されるのは5200後半を突破できた場合であるが、12月パターンだとそこで付いて行ってもしばらくしてドローダウンを喰らったので、いずれにしろテクニカルには要警戒ということにはなるだろう。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。