SPX technical
 S&P 500は週を通して昨年10月以来の悪いパフォーマンスになった先週見られた大陰線から過去の類似パターンを探した前回の記事では「上げ相場での大陰線は昨年7月末と12月に見られている。金利上昇が伴ったケースは前者であり、類似する展開を辿るとすれば数日何事もなかったかのような小動きが続いた後にクラッシュすることになる」としていたが、月火の小動きからの下落はパターンを忠実になぞっている。米国CPIは3ヶ月連続で上方サプライズとなり金利上昇イベントになった前回の記事では「CPIデーでS&P 500が1%以上飛ばなければ通過そのものがボラティリティの剥落になるだろう」としていたのだが指数はちょうど-1%の境目でウロウロした。木曜にはここもと低迷していたAAPLが新チップのヘッドラインで大幅にラリーし、指数全体まで連れ高した。金曜になると一転して中国政府による外国製チップの排除指示のヘッドラインが流れたことで半導体が大幅に反落した同じ金曜寄付き前にJPMが決算滑った。またイラン関連の地政学リスクが断続的に提起された
Bloomberg Volatility Spikes
MOVE
 VIXは昨年11月以来の水準まで上昇しており、VIXだけ見ると昨年12月以来の4ヶ月の25SMA上でのじり高からはレジームチェンジしている。VIXのブローアップの根源は明らかにMOVEであり、つまり米国金融政策の不確実性が再び高まってきたということである。理論的にはもちろんVIXのブローアップは一層のリスクプレミアムの要求に繋がり株安に繋がるはずだが、ややこしいのはリアライズドVolは大して上がっていない(ように肉眼では見える)ため、ボラティリティを見てポジションを制御するVolコントロールやリスクパリティが売りに回るとまだ決まったわけではない。金曜のS&P 500は1%後半下落したが、本ブログが重視する1日2%の下落はまだ見られていない。1日2%の下落が見られた場合、翌日小十字からの翌々日続落というパターンを想起したい。
GS Systematic positioning
 久々にGS CTA。3月後半に一段と上げに付いて行っており相当なポジションになっている。週明けに一段とドローダウンが続くようなら久々にCTAのフリップが見られる可能性がある。VolコントロールはリアライズドVolが上がらないため今年に入ってからずっと満タンである。
BofA Dealer Gamma
 BofAによるとディーラーのガンマロングは5200から5100への下落の過程でかなり解消されており、5000を切ると完全にネガティブになる。CTAのフリップトリガーは5100割れの5000台後半と見られており、これはテクニカルの示唆と一致する。
DB Blackout
Earnings Whispers
 4/15までのタックスセリングは意識しておくのが正解であったが、過ぎた後は代わりに自社株買いブラックアウト期間が少し続く。
NAAIM and GS sentiment indicator
 NAAIMはさすがにもう少し悲観化しているが、11月以来の調整という雰囲気ではまだない。GSのセンチメントインジケーターは急速に楽観が後退した。
Gold WTI TNX
 イラン関連のヘッドラインの影響は2020年1月の経験と同じように大して長く続かないだろう。それを理由にクラッシュが先行したらその後のラリーを期待できそうであるし、逆に出尽くし上げが先行したら売れるタイプのイベントだと思っている。直前まではゴールド高、原油高、金利高のインフレトレードが続いていたのだが、イラン情勢が緊迫化すると「地政学リスク回避のゴールド買い原油買い」は起こらず、むしろそれらのアンワインドが目立った。つまり今のところイラン関連のヘッドラインは少なくともダイレクションを張るネタとしては重要視されていないと思われる。マクロネタは月曜寄付き前の小売売上高を通過すればしばらくない。

 テクニカル。木曜のナスダックのブチ上げは完全に余計であり、ナスダックだけは週足上ヒゲ陰線になり、16465が週足レジスタンスとなる。S&P 500は強いて言えばラウンディング・トップに見えなくもないが、ここまで綺麗にワークしてきた昨年7月との類似以外あまり手がかりがない。2%に届かないものの急落が2度も続いたため5200台後半だけでなく5200台半ばも重くなってきそうである。5100サポートは金曜の下落を経ても健在であるが皮一枚になっており、また引続き分水嶺になっていると思われる。つまり地政学リスクを通過したにも関わらずにべもなくブレイクされた場合は調整余地が広がってしまう。再びサポートされた場合は方向性がなくなるか。VIXとリアライズドVolの整合性が最大のポイントであり、理論的にはリアライズドVolの低迷が続く限り、VIXの剥落過程でのリスクオンパスがどこかに残っているはずだが、それはMOVEの下落つまり米国の金融政策の再確定に伴うものになるのではないか。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。