
GW週に日銀の為替介入に押されてすっかり影が薄くなったS&P 500。週初めの30日にFOMCの前座と言わんばかりにECI(雇用コスト)を受けて金利が急上昇し、株式指数を押し下げた。特に引け間際に大きな売りが入っており、ないと思われていた月末リバランスの株売りがサプライズになったように見える。ECIはバックミラーなので本来重要な指標ではなく、この調整は1日のFOMCに向けたものという印象が強かった。引け後の決算はAMZNが堅調でAMDが滑っている。FOMCに向けては調整が付いた形になるため、実際パウエル議長の記者会見が終わるまでタカ転換がなかったこともあり指数は一時ゴルディロックス気味に大きく跳ねた。しかし記者会見が終わった途端に、機械か、裁量なら前もってFOMCがどうなろうとそのタイミングで執行すると決定されていたであろう売りが降りかかってしまい、FOMCデーの日足は長い上ヒゲ陰線になってしまった。もっとも引け後に控えていたクアルコムが堅調で、たとえFOMCデーに捕まっても翌日助かるのが確定した。2日は単位労働コストが悪かったのもあってNY日中は一度アンチ・ゴルディロックスの売りに押されたが上ヒゲ陰線を下ヒゲ陽線で返すことができた。最後のイベントである、広く減速すると思われていたAAPLの決算について先週の記事で「直近の急落をほとんど全戻しした状態でAAPLを迎えるならオッズが悪くなりそうだが、調整後に迎えるならサプライズの少なさがサポートになるだろう」とした通り、それまでに調整を済ませてあったおかげもあり大幅高で通過することになった。

GS CTAは少しポジションを落としたところで、GS自身によると「あらゆるシナリオで株買い」に転換した。もっとも戻す余地も大してないので、5月中旬以降は主役でなくなるだろう。

先週またしても辛うじて回避したS&P 500の2%下げに対する、Volコントロールのリアクションは依然大幅な売りと予想されているが、直前の調整でややポジションを縮小したおかげで少しはインパクトが小さくなっている。

相場の回復と共にディーラーは再びポジティブガンマになった。


FOMCだけでなくISMをはじめとする経済指標も多い週だったが全体的に弱い印象であり、GDPやECIといったどうでもいいバックミラーで反応した分も全戻しされているため、4月に入った瞬間から本ブログが警戒してきた「長期金利の上昇が株式指数に悪さする(アンチ・ゴルディロックス)」懸念は剥落しつつあると見なしてよいだろう。金利は水準よりもボラティリティの方が株式にとって重要なのである。

逆にスタグフレーショナリーではないかという指摘も出てこようが、かなり長い間にわたってスタグフレーショナリーな指標パッケージに対して株式がスタグフレーショナリーに反応した記憶がない。


今週は経済指標がない週であり、代わりに連銀高官の講演が多い。決算は大方通過済でありボラティリティが高まるイメージがない。

指数の値持ちがよかった割りにはNAAIMは改善せず、FOMC通過後の懸念剥落相場がもう少し続く可能性がある。
テクニカル。GDPが二番底だったのをメインシナリオとしていたのだが、FOMC後の謎な売りで少なくとも二番底には再びかなり近づいたので一時相当緊張感が高まった。もっともFOMCの三番底からもすぐに指数は脱出しており週足は下ヒゲ陽線となっている。先週の記事で「これまで堅かった5000直下を貫通するにはもう少し素直にロスカットしたくなるような材料が必要ではないか」とした通り5000は再び堅かった。今週以降は5010が新しい週足サポートとなる。とはいえ4月以降「何もなかった」と片付けるにはまだ早い気もするため、5010まで再びドローダウンした場合に致命傷を負うような上値追いは避けたいものであり、5000台でどこまで深い押し目を拾えるか。そしてもし5010を再びブレイクした場合は週足の下落トレンドを再確認することになり、かなり下値余地が広がることになる。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。