
S&P 500はじりじりと続伸となった。先週の記事ではせっかくテクニカルで「どうも5000近辺で底を打ったらしい」と判断できたのに「とはいえ4月以降「何もなかった」と片付けるにはまだ早い気もするため、5010まで再びドローダウンした場合に致命傷を負うような上値追いは避けたいものであり、5000台でどこまで深い押し目を拾えるか」と変な個人判断を入れたせいで空振りした形になる。

経済指標は引続きスタグフレーショナリーなものが続いているが、やはり株式がスタグフレーショナリーに反応することはなかった。金曜にTSMCの好決算を受けてナスダックを中心に高寄りしたもののさすがに高値圏なだけあって後が続かず、ミシガン大消費者信頼感もスタグフレーショナリーに出ると反落して日足上ヒゲ陰線になった。

本ブログなどは歴史的にミシガン大消費者信頼感をただのガソリン価格連動指標として軽視してきたが、現実にはプライスアクションが大きいことも多い。

DBのポジショニング。GSのものと違って前回の調整でのフリップが微々たる規模になっている。

EPSは引続きナスダック100主導で上昇している。決算期が終わった時点でこれなのでEPS主導で指数が売られる余地は大きくない。

クレジットスプレッドは依然最低圏にあり、これが広がり始めない限り株式指数の調整が来てもかなり限定的なものに収まる蓋然性が高い。もっとも2022年がそうだったように、クレジットスプレッドは経験的には割りと遅行指標でもあり、株式指数がだいぶ下落した後にロスカットさせるような警告を発してくることもある。

NAAIMは一気にFOMOモードになった。GSのセンチメントも再びストレッチしてきた。これは前回の調整の時ほど魅力がなくなっており、またショートカバーだけで高値を追うことが難しいを示唆しているが、まだオッズが最悪まで悪化したわけではない。

5月中旬に差し掛かったことでシーズナリティは悪化する。もっとも4月が良好なシーズナリティにもかかわらず調整したのでシーズナリティが話題にされなくなっている。

ディーラーガンマがポジティブ域に戻るにつれてインプライド、リアライズド共にVolは一気に低下した。マクロ指標や重要な決算がなく「ボラティリティが高まるイメージがない」としていた先週と打って変わって今週はPPI, CPIと小売売上高が続く。珍しくPPIが先に来るという慣れない組合せであり、PPIが高めに出るとCPIに向けてヘッジが入りやすい蓋然性が高いし、かと言ってPPIが低めに出てもCPIに顔面から突っ込むわけにもいかないだろう。ミシガン大のセンチメント通りに消費者が行動していたらCPI上振れ、小売売上高下振れの組合せになるが果たして。週末にはOp Exが控えており、それまで高値張り付きが続いたとすれば、Op Ex通過に伴って動きやすくなる蓋然性が高そうだ。
テクニカル。週足ベースでは引続き5010がサポートになる。一方で調整前の水準に近づいてきたことで上値も相応に重くなっており、日足ベースでは5240がレジスタンスとなる。従って5010 -5240のレンジに収まる蓋然性が高い。CPIと小売売上高がよほどディザスターに出ない限りレンジの下半分は遠いが、引続きレンジ内でどこまで安く押し目を拾えるか。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。