S&P 500はひたすらNVDA決算に注目する週となった。週前半はヘッジが入るでもなくフライングするわけでもなく狭いレンジでの推移となった。先週の記事で触れた5325の日足レジスタンスは意識されず、連日ザラ場ベース、引け値ベースの高値更新が続いた。
NVDA決算は当然のように堅調に出た。前回の記事では「歴史的にまだ滑ったことがない銘柄であり、直前に警戒が入れば通過のハードルが極めて低いと思われる一方、決算前からコール主導の買いが盛り上がった場合はまたオプション市場が織込むハードルを越えられないと寄付きから利食いに押される展開も想定される」としていたが、結果的にフライングは盛り上がらず、ハードルは少なくとも前回決算対比では高くなかったようである。
もっとも「最近の先導株なので指数も同じ方向に振らされる可能性が大きい」と付け加えていたのは間違っており、木曜はNVDAだけが大幅に逆行高する形で大半の銘柄は下落する展開になった。指数も高寄りしたものの、同日のPMIフラッシュで金利が上昇したこともあって寄り天になった。スタグフレーショナリーな指標セットで金利が上がっても下がらない指数が、景気の堅調さを示唆する指標での金利上昇には弱かったわけだ。木曜は2%下落にはさすがに届かなかったが、4月初旬以来の大陰線となった。もっとも2023年後半以来ずっとそうだったように、2%に届かない程度の大陰線の引け対比では翌日にはプラスで始まる傾向が強い。金曜は自律反発になった。
このようにマグニフィセント7だけが強い局面が再び加速している。従って指数に与える個別決算のインパクトも大きくなっているが、集中度そのものは2021年末より少し高い程度なので問題があるわけではない。2022年末の「景気後退になってもFedが利上げするのでビッグテックの復活だけはない」論が作った窪みの方がアホらしいのである。
GS CTAは引続き中立がベースシナリオである。大きく下落すれば振り落とされやすいし、じり高が続くと春のようにCTAの上値追いが続くとも考えられる。
決算期を通過して自社株買いブラックアウトも完全に明けている。こちらはNVDA決算前に流れてきたものなので非NVDA銘柄の統計だが、概して決算で売られやすかったようである。
NVDA決算を受けて2025年のボトムアップEPS予想は2023年以降の長い停滞を乗り越えて高値更新している。
一週間ほど前のものだがBofAのディーラーガンマは5300で極大になり、5100に向けて減っていくとしている。
4月の調整で一度20を付けたVIXは再び低迷した。利下げ期待が少し剥落した代わりに金融政策の不確実性が再び後退したからである。今週はGDP改定値とPCEが控えており、GDPはなぜか下方サプライズになった速報値の1.6%から更に下方修正される予想になっている。
NAAIMは更に楽観化しており、上値追いを正当化しない。
テクニカル。経験上寄り天大陰線を引いた後は数日間は陰線の真ん中あたりで滞留するが、そのしばらく後のパフォーマンスは思わしくない。従って直近は安全と思われる一方、中期的には再び調整が近付いていると考える。もちろんEPSが堅調である限りそれもまた調整で済んでしまうと思われる。とりあえず今後数日は大陰線の5250 -5350レンジを意識することになるか。上に抜けた場合は2023年12月パターンと見なされ、月末リバランス前あたりが一つの区切りとなるか。下に抜けた場合はやや加速しやすい可能性がある。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。