SPX Technical
 S&P 500は大幅続伸となった。先週の記事で「週足の範囲内での押し目買いというスタンス」としていたが、またしても押し目は微々たるものになった。火曜はAAPL、木曜はAVGO、金曜はADBEと、次々とテック系の個別銘柄が相場を支えた。水曜は寄付き前のCPIが軟化したことで上窓を開けてのリスクオンで始まったが、FOMCはややタカ的になったため上値では売りに押され、もっともそれも徹底されず上ヒゲ陰線には至っていない。CPIの方が大事であり、Fedも年内利下げ1回などという早まりをそのうち改めるだろうということである。欧州ではフランスの政情不安でフランス株が6%以上下げ、また欧州時間になるごとにリスクオフが優勢になったが、S&P 500には影響を与えなかった。
AAPL
GS AAPL flows
 アップルはウォーレン・バフェットのドヤ顔売却宣言もあって長らく200ドルがレジスタンスになって上値が重かったが、一旦200ドルを突破するとテクニカルにも上値余地が一気に広がるため、ショートカバーと仕掛けで大幅上昇となった。上値が220ドルというキリのいい数字で止まったことからも200ドル台の続伸はオプション主導に見える。これだけ時価総額が大きい銘柄がまるでおもちゃのように動いた。
Bloomberg Russell
 小型株は金利が下がってもゴルディロックスにならず軟調な展開が続くが、大型テックの方が指数への影響が大きい。
GS EPS and PER
 この動きは巨大テック主導のコンセンサスEPSの伸び方と合致していると言えばしている。
GS CTA positioning
 GSのCTAポジショニングは最大限に近付いている。それをもってGSは今夏終盤の調整を見込むが、果たして。今年に入ってからCTAのポジショニングが上限まで積もるにつれて調整警戒が高まってきたが、結局低Volレジームが概ね続いたことからフリップまでのじり上げに耐えなければならなかった。それはCTA逆張りは指数を最も安心して積める時間帯を逃してきたことを意味する。
DB positioning
 DB positioningは更に上限に近付いているように見える
HSBC CTA beta
 珍しく流れてきたHSBCのCTAも同様である。
BofA France Spread
Bof IG Spread 
GS implied vol
GS implied Vol
 先週の欧州時間の話題はフランスの政治不安であった。フランス国債の対ドイツスプレッドが拡大したことでUSIGスプレッドも拡大し、それに比べてインプライドVolの拡大はラッセル2000を除くと限定的でありアンバランスである。欧州の話なので米株、特にGAFAMは関係ないという解釈をするならそれまでだが、アンバランスではある。FOMCのタカ派転換も全く無視されたわけだが、アンチ・ゴルディロックスに繋がらないなら繋がらないで、今度はビハインド・ザ・カーブがチラつく。
GS Dealer Gamma
BofA Dealer Gamma
 BofAのディーラーガンマは上にガンマウォールがシフトしている。5500まで一気呵成でもすれば再び値動きが軽くなるかもしれないが、5400台は下を叩いて上を追う場面ではないことが分かる。21日がOp Exであり、そこでディーラーのガンマロングが薄くなるか。
GS Seasonality
GS blackout
 シーズナリティは6月後半が弱いことが分かっている。決算前の自社株買いブラックアウトはこの期間に徐々に始まる。
NAAIM
Insider Transactions Ratio
 先週分のNAAIMはやはり先週の上昇を正しく予期していた。その後NAAIMは反発しており、総楽観というほどではないものの、先週ほどは上昇を約束しない。インサイダーは依然動きがない。
Apple
 テクニカルは依然上昇トレンドが続く。週足は引続き5234サポートが支えとなる。日足に至っては5400までサポートが上がって来る。しかしUSIGのスプレッド拡大を考慮すると、むしろ近すぎる5400サポートを手掛かりに上値追いするのは気が引ける。もし5400を下回るようなら5400台がごっそり取り残される可能性も見えて来る。その場合、下値の支えは指数が下がれば下がるほど薄くなるだろう。逆に5400さえもブレイクできないとなると、安易にショートに入ると巨大テックに踏まされるリスクも残る。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。