S&P 500は高値波乱が続いている。概ね月曜まで続いた半導体関連の調整幅は大きく、NVDAは一時3日間で4300億ドルの時価総額を失った。前回の記事では「半導体の弱さが続いた場合は水曜引け後のマイクロン決算が転換点になり得るか」としていたが、肝心のマイクロンも期待が過大だったせいで滑っているが、にもかかわらず木金は一度は反発した。
金曜のS&P 500はPCEをクールダウンで通過し、一度月末リバランスと長期金利上昇をものともせず株高金利高となったが、午前中には勢いを失い一日中にわたって売られ続けた。最近あまり存在感がないJPMのJHEQXカラーは9月末エンドの5770コール売り、5185$4375のプット買いにロールされている。
DB positioningは引続き100パーセンタイル近い。これはいつ調整がやってくるかを予想はしないし、また肝心の相場が動かなければ少なくとも機械勢は逆張りフリップは入れてくるわけではないが、上値余地よりも下値余地の方が大きくなりつつあることを示している。引続き1日2%の指数下落があれば――340日弱連続にわたってなかったらしい――下値余地が広がって来ることに注意すべきだが、まだ実現したわけではない。インプライドVolは実際の値動き(リアライズドVol)ほどインパクトがないが、それでももしVIXが改めて政治の不確実性を織り込んでくるようなら下値警戒が必要だろう。
シーズナリティは最も弱い6月下旬を抜け、概ね堅調な7月に入る。もっとも決算期前のブラックアウトに完全に入っていることにも留意すべきである。製造業、非製造業双方のISMと雇用統計が控えるマクロヘビーな週となるが、月末に既に金利が上がった前提で迎えるISMはよくても悪くてもリスクオンになりづらそうな気がする。金利上昇が続くなら4月と同様の「月初からアンチ・ゴルディロックス」になりやすそうである。
フランスの総選挙はもはやどう転んでも致命傷にはならなさそうだが、米株は元よりそんなものを材料視もしていないため通過のリリーフラリーも期待しづらい。肝心の米国でも大統領候補討論会を経て政治リスクが備えづらくなったため慎重さが必要である。討論会から月末にかけての金利上昇とリスクオフ気味、ヘルスケアのアウトパフォームはトランプ再来リスクを織り込んでいると言えば言えるが、一方で金融やエネルギーなどの他の規制緩和の恩恵があると言われたセクターも好調だったわけではなく、月末リバランス及びそのプレポジションの解消と区別が付かない。民主党内の混乱そのものの方が材料視しやすかった。
NAAIMとGSセンチメントインジケーターは引続き中途半端な楽観さである。
最高値近辺であるにもかかわらずJPMやGSから調整を警戒する声が続いた。5~10%程度の調整は上昇相場でもそれなりに見られるものであり、その程度の調整で振り落とされるほどのレバレッジをかけて上値追いするのは引続き危険である。
指数が1%下げた後の日のリターン。2020年が圧倒的なプラスで下げづらいのが有名で、その後2022年にマイナスになり、2023年に再び大幅プラスになったが、2024年はバッドニュースで間違った下げを見せるというより、機械フリップでしか下げない(上がる時も下がる時も連続)ので意外とよくはない。
テクニカル。前回の記事では「ナスダックの17935がレジスタンスとなる。S&P 500はキリがいい5500が上値目途にはなるが、テクニカルなレジスタンスには特になっていない」としていたが、両方の上値目途を上にぶち抜いた後に反落している。5500のウォールをぶち抜いた後は一度上値が軽くなったものの、月末引けにかけてかなり下まで売り直された。日足は二本も上ヒゲ陰線、週足も上ヒゲ陰線と5500台の重さが目立った。S&P 500の5524が週足レジスタンス、ナスダックの18035が日足レジスタンスをそれぞれ形成する。もちろん月末フローが作ったチャートなので、明けた途端に帳消しになる可能性もあるが、基本的には5500近辺は一旦のリスクの落とし場になりそうである。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。