S&P 500は再び棒上げの後に高値波乱となった。週前半はじり高が続き、CPI前の水曜にはVIX上昇、指数大幅上昇のメルトアップになった。その時点で翌日のCPIがどう出ようとオッズがいまいちになるのだが、CPIが出ると1日かけて指数は反落した。
CPIを受け、これまでとりあえずショートしておけばいいと思われていた中小型株がブチ上がった。それだけ見ていると一歩遅れて(ラッセルショートとのペアトレードが多い)メガテックが売られるのも想像しづらかったわけではないが、CPIのデータ自体が小型優位のインプリケーションを持っていたわけではない。銘柄で言うと幅広く売られたわけではないが、大型調整のインパクトの方が大きかった。直近で急騰していたTSLAがここぞとばかりに自動運転タクシー発表延期を放り込んできたのもこの動きを加速させた。CPIデーの値動きは一過性にも見え、金曜にはメガテックも反発から始まった。もっともS&P 500ベースでは最高値を再び更新したものの、メガテックとナスダックは急落前の水準を取り戻すことなく、週末を前に再び売りに押された。
GS CTAはこれまでの記事でも触れた通り、急落に転じた後のマグニチュードを測るのには使えるが、じり高局面での逆張りでは使えないことが判明している。一方、急速なボラティリティ上昇は機械の逆回転に繋がりやすい構図は変わっておらず、ただのセクター間のフローでも指数を大きく動かした場合は値動きだけ拾ってくる機械に要注意となる。
6月以降USIGが一度ワイドニングしており、本来それは広汎なリスクプレミアムの拡大に繋がってもよかったのだが、VIXはその動きを無視した。フランス選挙の通過などもあってUSIGは再びタイトニングしてきたため、ファンダメンタルズ的には特段問題ない。加えてCPIを通過して金利も定位安定するなら、債券は株式の足を引っ張らないだろう。
NAAIMは木曜の反転に少しビビっている。GSのセンチメントインジケーターは引続き極端な数値になっていない。
インサイダーは少し売り越しが目立っている。
決算はNFLXから始まる。NFLXは都度都度大型テックの地合い次第のリアクションが続いてきており、大型優位からの反転が続くかどうかの象徴にもなりそう。シーズナリティ的には例年通り強かった7月上旬が終わり、7月下旬では一度の調整に警戒することになる。
テクニカルは指数ベースでは高値更新が続いており反転にベットする理由がない。遠くなったものの引続き5440がサポートとなる。一方戻りが鈍いナスダックはテクニカルでも弱く、水曜の上げを木曜に否定した後、金曜も取り戻すことに失敗した形となる。従って18670が日足レジスタンスとなる。ひたすら大型テック優位のトレンドが反転するかどうかに注目しながら、指数ベースでは引続き押し目買いということになるか。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。