SPX technical
Bloomberg worst week since April
 S&P 500は週間で4月の調整以来の下げ幅となった大型テック主導の下げなので「トランプ・トレード」と表現する声もあった。都合のいいことに月曜の上げもトランプ・トレードと言われていた。決算期はバンカメの上げで始まった水曜にはバイデン政権が半導体の対中貿易の厳格化を発表して半導体セクターが大きく下げた。セクター間の値動きが大きすぎてNFLXの決算は話題にならなかった。金曜は世界的なシステム障害で取引どころではなくなったが、もちろん週末に更なる深刻化は起きていない。
Bloomberg IWM call volume
GS Russell
GS LS daily LS performance

 先週CPIを通過して以来、喫緊利下げトレードとして中小型株が多いラッセル2000が噴き上がったモメンタムは週前半にわたって続いた。2022年の引締めサイクル以来、ラッセルは経済成長ファクターにあまり連動せず、とにかく金利低下に反応しやすくなっている。ラッセルと大型テックのペアトレードが多かったのか、ラッセルの大掛かりなショートカバーは大型テックの調整に繋がり、ラッセルと金融が逃げ場となった。大型テックにとっても利下げはポジティブであるはずだが、このシーソーがどちらに動くかはどちらのショートカバーが先に進むかで決定される、要するにポジショニング次第であった。こうして指数内でシーソーのように動くセクターが目立つためセクター間の相関が下がりきっており、それは指数ベースのリアライズドVolの低迷にも繋がってきたが、木曜になってラッセルと金融も上がらなくなって相関が戻ってくると指数も一気に下がりやすくなった。金融が上がるとすぐショートターミズムで有名なウォーレン・バフェットが利食い爆弾を投げ込んできた。もっともTSMやAAPLの前例のように――ショートターミズムによく見られる平凡な失敗であるが――これらの利食い爆弾が早漏爆弾に終わることも多い。
GS CTA
 GS CTAは依然フルロードである。前回の記事で述べた「急速なボラティリティ上昇は機械の逆回転に繋がりやすい構図は変わっておらず、ただのセクター間のフローでも指数を大きく動かした場合は値動きだけ拾ってくる機械に要注意となる」は実現しつつあるようにも見える。現に激しいセクター間反転はヘッジへの殺到に繋がり、VIXはそれなりの水準まで上昇した。最大の懸念である1日2%の下げは見られなかったが、例えば3日間の騰落で見ると2023年春以来の急激な調整である。来週の主役は機械勢のフリップが押し出されるかどうかと思われ、あるとすればそれは寄付き直後よりも引け前の方が弱いパターンの示現をもって観測されるだろう。
GS Dealer Gamma
 ディーラーのガンマロングも下落で大幅に削れている。最近ワークしないので忘れていたが金曜はOp Exであったが、Op Ex日も続落が続いた。元々ディーラーがガンマショートで迎えた場合以外はOp Ex底になる理由はあまりないが、一応5500というキリのよい数字は金曜サポートになったし、もし場中にネガティブガンマに転落したとしても金曜引け後までネガティブガンマが残るということもないだろう。そのまま月曜から跳ね返れば4月のOp Ex通過と同じパターンになるが、その場合も決算期間中はせいぜい上昇フラッグであり、本格的に反転するにはブラックアウト明けを待つ必要があった。
BofA reporting
Earnings Whispers
 決算はGOOGLとTSLAが集まる火曜引け後が重い。今週と来週で大半の決算を通過してブラックアウトも明けるので、8月に入れば地合いが改善しやすくなるだろう。
 NAAIM
 NAAIMは少しだけ悲観化しており、長らく動きがなかったGSセンチメントも慎重になっている。従ってこれまでほどは「上値を追いかけたくない」感じではなくなるが、もちろん総悲観で反転というレベルでもない。
SL
 テクニカル。週足はがっつり上ヒゲ陰線になってしまった。5670は週足レジスタンスとなる。先週の記事で取り上げたナスダックの日足レジスタンス18670は週明けの上昇局面でも見事にワークしたが、その水準は週足レベルでも上ヒゲレジスタンスとなる。木曜までは25SMAで跳ね返ったタイプの調整で済んでいたが、金曜の続落で25SMA割れ以上のマグニチュードになった。決算期を前に最高値奪還を狙うプレーヤーもいなさそうなので上値は重そうに見え、個別決算で指数ごと跳ねたところはリスクの落とし場になりそうである。下値余地としては4月Op Exと同様に週明けを通過して5500が守られ続ければそれに越したことはない。下では6月中の水平サポートだった5440が残っているものの、そこで跳ね返ってもよし、或いは突き抜けた上で50SMAの5410あたりで跳ね返っても綺麗である。

NY市場サマリー(15日)株続伸、ドル小幅安・長期債利回り上昇 | ロイター (reuters.com)
 
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。