先週のS&P 500は大幅に下落した。ここもとイベント警戒で金曜引け前は押されやすい代わりに週末跨ぎは報われやすかった。週末にはバイデン大統領の大統領選撤退を発表しただけだった。Op Exを通過したこともあり、月曜から先週のリスクオフを忘れたように指数は一直線にラリーした。先週の記事で挙げたサポートの中で最も安直でキリのいいOp Exの5500がまずはワークした形となる。
跳ねたところでは火曜はGOOGLとTSLAの重い決算を控えて日足上ヒゲ陰線となり、そして引け後にそのまま双方滑ったため、今期決算へのハードルの高さを想起する形で指数は大きく下落した。
水曜の大幅下落によって「1日2%下げがない期間」の記録は356営業日で終わってしまった。前回この長さが続いたのは2007年である。「1日2%を超える下げ」は本ブログが重視してきた動きであり、なぜならこれがVolコントロール型の売りを誘発するためである。2%下げた日の翌日は小十字になりやすく、その翌日に一度は下値を更新する、というのが2022年の血の教訓であった。先週の記事では「来週の主役は機械勢のフリップが押し出されるかどうかと思われ、あるとすればそれは寄付き直後よりも引け前の方が弱いパターンの示現をもって観測されるだろう」としていた。木曜は半導体主導で下値を伸ばそうとして失敗して一旦は反騰したものの、まさに「引け前の売り」が降ってきたため日足は小動きになった。引け前の売りはこのように予想可能だったことから前日のボラティリティを見た機械勢の売りであったと思ってよいだろう。もっとも金曜は寄り底となり更に下値を伸ばすことはなく、またそれを確認したところで買い戻しが始まったものの、月曜ほどショートカバーの勢いもなく、木曜の日足上ヒゲ手前では売りに押された。
日銀の為替介入をきっかけとしたドル円の急落は最大のマクロ・コンセンサストレードの破壊であり、それは他の資産クラスでもポジション解消に繋がったという見方もある。これではあたかも他の市場も円ファンディングに支えられているように見え、実際に円から出発した投資家にとっては泣きっ面に蜂になった。
GSによるとVolターゲット型ファンドは果たして大きくポジションを落としている。水曜の2%を超える大幅下落がそのような動きをトリガーするのは本ブログの読者であれば熟知しているだろう。
GSもBofAも、スポットの下落に伴いディーラーのロングガンマが著しく解消されており、もう少しでネガティブガンマに転ずるとしている。5400を著しく割り込むとネガティブガンマに転じる可能性が高く、その場合は指数の下落が進むにつれて追加ヘッジがトリガーされやすいだろう。
NAAIMは一層悲観化しているが、値動きの割りにはまだ中途半端な位置にある。インサイダーは特に動きがない。
頭が痛いほどハイテク決算が重い週である。特にすっかり攪乱要因になった半導体大手が並んでいる。安直に考えれば先週と同様、ショートカバーが一巡した後は火曜あたりからヘッジが入りやすいと思われ、その後は個々の決算次第となるが、幸先が悪いためよほど備えが構築されない限り決算ギャンブルは危険に見える一方、インテルまで通過してゲームチェンジャーがなければ買い戻しが優勢になりやすそうに見える。その後はブラックアウト明けが続く。加えてマクロではJOLTSからFOMC、雇用統計まで並ぶ。JOLTSは一旦減速の勢いが鈍る可能性が高く、FOMCは9月利下げアナウンスがあることが前提になっている。FOMC後となる雇用統計はどのFOMCも動かさないので、よほどペインなまま突入しない限り(≒週次で大きく動かない限り)リアクション疲れになるだろう。
テクニカル。先週の途中までは「来週の主役は機械勢のフリップが押し出されるかどうかと思われ、あるとすればそれは寄付き直後よりも引け前の方が弱いパターンの示現をもって観測されるだろう」「決算期を前に最高値奪還を狙うプレーヤーもいなさそうなので上値は重そうに見え、個別決算で指数ごと跳ねたところはリスクの落とし場になりそうである」を完璧にトレースしており、そこから2%クラッシュ後の弱さも予習できていれば全く違和感なかったが、金曜まで機械的な続落とはならなかったのは画竜点睛を欠いた。従って2%下げが作ったマグニチュード自体は一度リリースされたと判断される。木曜の上ヒゲ陰線のヒゲと25SMAが集まる5500は一旦レジスタンスとなり、それをブレイクされてVIXも低下してくれればある程度ショートカバーの燃料を捻出できるだろう。一方、調整のきっかけになったナスダックで見ると日足ヘッドアンドショルダーになっており、上記のショートカバーが実現したとしてもそれはネックライン~右肩の間の空間に戻ってきただけであり、右肩18180(ナスダック100で言うと2万手前)はレジスタンスとなる。S&P 500で言うと決算期スタート時点の5600手前は遠いということである。下値については先週の記事で挙げた5440, 5410は共に紙サポートであり、下値は5390まで伸びた。その後は売り疲れ感が続いているが、再び5390が早々に割られる事態になればガンマプロファイルのネガティブ転換と、CTAの売り転換を押し止められなかったことを意味するので再び下値余地が広がるだろう。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。