やや高値波乱気味ながらもS&P 500は再び棒上げの一週間になった。残っていた5570レジスタンスは秒速で突破された。月曜の引け前には一段高になっており、これは機械の買い戻しに見える。火曜もそれに備えながらも利食いが優勢となった。水曜は雇用統計の年次改定であり、発表が遅れたる椿事もはさみながらも、織り込まれていた下方修正を通過してじり高が続いた。木曜はジャクソンホールを前日に控えて債券、株式両方のゴルディロックス・ベットを畳む形でヘッジが先行し、指数は引けまで売り込まれて高寄り大陰線となった。ジャクソンホールについては先週の記事でも「この位置で迎えたら大して緩和的なイベントにはならないだろう」と述べていたが、実際はそれなりにハト的なイベントとなり、それでも前日の下落に捕まっていたのかところどころ大きな売りに見舞われながらも、引けてみるとイベント通過の上昇となった。
テクニカルでは「次はナスダックの18180、QQQで言うと485がヘッドアンドショルダー右肩レジスタンスになっており、このレジスタンスは強力であるとの認識は改めていない。右肩レジスタンスをブレイクしたら利下げゴルディロックスに入ったと改めて判断すればよく、その手前までの反発過程で一度過剰なポジションを整理しておけば、どちらが実現するかはともかく、続伸ケースと比べて力尽きたケースの見返りは絶大なものになる」としており、木曜朝などはその水準に近づいたので木曜の大陰線を回避するのは難しくなかったが、下げ幅はS&P 500ベースでたかが1%強であり、大した見返りはなかった。
USIGは一時的にワイドニングしていたところからはすっかり戻しており、加えてベース金利も低下しているので、ファンダメンタルズ的な急落の裏付けは再び薄まりつつある。
GS CTAはCTAが下を売ってから買い戻している様子が分かる。この買い戻しは8月末まで続きそうである。
DB positioningも一旦かなり軽くなった後に反発を見て慌てて復元しているのがよく分かる。今後も指数が横ばいか上昇が続くなら機械は基本的に買戻しが優勢になるだろう。もちろん、再びS&P 500ベースで1日2%のクラッシュがあれば再反転すると思われる。
今週最大のイベントは水曜引け後のNVDA決算だが、フライングする形でBofAやGSが揃って推している。市場はだいたい9~10%の値動きを織り込んでおり、その範囲内では決算を受けて上がれば利食い売り、下がれば押し目買いが入りやすいと思われる。SOX指数は7月をピークにS&P 500を緩やかにアンダーパフォームしており、それが取り越し苦労なのか、割安と言っている人がトラップに嵌っているのかはこの決算で決まることになる。S&P 500ベースでは単純計算で0.6%のインパクトに当たる。
NAAIMは機械と同じくらい反応が遅れており、上がりきった後にようやく地味に反発している。NAAIMだけ見るとまだ買い戻しが済んでいないように見える。インサイダーは反対に強気になっている。
シーズナリティの観点からは9月前半は問題ないが、大統領選の有無にかかわらず9月後半は弱い。まだ日柄に余裕があるが、調整で捕まったままの状態で9月後半を迎えることがないようにしたいものである。次の決算前のブラックアウトに入るのもこのあたりである。今日明日の話ではないが、そもそも企業の手持ち現金は2021年の低金利時代からすっかり減っているため、自社株買いの勢いもどこまで続くか。再び現金を積もうと思ったらその時の調達コストはようやく2021年のものではなく2024年の金利に見合ったものになるだろう。
テクニカル。これまでの経験では日足高寄り大陰線は(すぐには続かないものの)数日~2週間以内の調整の可能性を示唆する。以前のパターンは5月の記事で取り上げており、奇しくもこの時もNVDA決算でNVDA逆行高の日足大陰線になっている。この時も思い出すとNVDA自体の決算ギャンブルはともかく、指数ベースではよくて独歩高という不利な決算跨ぎに見えてくる。従って週前半にどのようなチャートが形成されようと、NVDA決算直前には振らされても動じない程度のポジションにとどめたいものである。ナスダックの18180レジスタンスは健在であり、依然その直下から突破にベットするのは気が引ける。一方で機械の買い戻し余地もあるので、このまま比較的静かな相場が続いた場合ショートの居心地も悪いままだろう。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。