S&P 500はNVDA決算を通過した。週前半から先週の大陰線に触発されたような陰線が立ち並んだが、水準として大きく切り下がるわけではなく一進一退というところであった。もっともジャクソンホール前の大陰線の範囲内の値動きにはとどまっており、これまでのように大陰線が調整本格化の号砲になったわけではない。
NVDA決算の数字自体は悪くなかったものの、前回の記事でも引用したような事前の期待が明らかに高すぎたのである。時間外では一時-7%程度まで売り込まれたがまだまだ織り込まれていた範囲内の値動きであり、NY時間がオープンすると押し目買いが入ったが、かと言ってプラ転できるわけではなく、戻したところでは戻り売りに遭い、露骨にイベント通過感を出していた指数を道連れにして上ヒゲ陰線で引けている。NVDAの上がりづらさは先週いっぱい続き、一方で前回の決算リアクションとは逆に指数は堅調であり、NVDAが一人アンダーパフォームした。。金曜などはNVDAの滑り具合を意識するような動きが指数でも見られたものの、引け前の機械っぽい買いがそれを押し流し、日足も週足も下ヒゲ陽線となった。
GSのシステマティック勢は買戻しが優勢であるが、まだ進んでいない。
バークレイズはCTAは素早く反発に付いて行けたが、VolコントロールはリアライズドVolの高止まりでポジション復元が遅れているとしている。マクロ系ファンドは株式ポジションを削減し続けた。その視点は何となく分かるし、大統領選に近付くにつれて株式への資金流入が細りやすいとされている。
目新しい話ではないが、野村はVolコントロールは1日で指数が上下2%以上動くと売りに転じるとしている。
BofAのディーラーガンマは引続き余裕のポジティブ域である。ネガティブガンマに転じるのは引続き5400割れである。逆に5700は重そうである。
NAAIMはゆっくりと回復している。悲観感は元々なかったが、総楽観と言えるほど強くもない。9月上旬に総楽観に行ければ安心して売れるだろう。
インサイダーの売りは少し戻ってきた。
今週は再びマクロ週となる。ISMも雇用統計も、強ければアンチ・ゴルディロックス、弱ければ景気減速懸念再燃と扱いづらい指標群となる。特に後者は早ければ事前ヘッジが入るか、入らなければオッズが悪くなる。前座としてJOLTSと新規失業保険申請件数も控えているがこれらはリセッショナリーにはならないだろうから、レイバーデー明けのアンチ・ゴルディロックス警戒の方にややウェイトを置くことになるか。金曜などは金利が上昇してもアンチ・ゴルディロックスにならなかったが、どのイベントでトリガーが引かれるか。9月半ばにはブラックアウトに入るので、それまでに機械主導のショートカバーがどこまで進むか、というところである。
テクニカル。NVDA決算もあってナスダックをアンダーパフォームさせつつも指数は概ね堅調だった。週足は下ヒゲ陽線となり、5560がサポートとなる。出遅れているナスダックはQQQで見ても470近辺はある程度踏み固められたように見える。逆にこれらのサポートがあっさりブレイクされた場合はS&P 500などはかなり長期的なダブルトップ臭が漂い始めるだろう。レジスタンスはナスダックの18180がまだ残っており、先週もこのレジスタンスの手前で苦戦した。5560サポートはショート勢から見ると突破できないと相当ストレスが貯まるタイプのものであり、先週もNVDA通過後の下落でそのまま再突破できていたら小さな日足ヘッドアンドショルダーになるところだったが、金曜にその流れを否定されている。ただ一旦は上抜けてもだいぶ時間が経った後の調整であっさり突破される可能性は消えたわけではない。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。