S&P 500は一転して棒下げとなった。レイバーデー明けてからすぐテック主導の大幅下落が始まり、下落幅は2%を超えた。売ると決めた人は当日に売り切ったのか、翌日の水曜は2%以上下げた日の翌日によく見られたような小十字となった。木曜も一度はテック主導では反発に向かいやすそうに見えたものの、金曜は雇用統計の通過とブロードコムの弱い見通しで再びクラッシュしている。やはりS&P 500にとって1日で2%以上売られると小十字を挟んで続落しやすくなるものであった。
マクロ的には先週の記事はどちらかというとアンチ・ゴルディロックスを警戒していたのだが、ISM製造業は当然としてJOLTSもADPも普通に弱かった。注目されていた雇用統計は逆に9月FOMCを50bp利下げで決着させるほどの弱さがなかったことで、利下げ織込みの激しい迷走と共にやや催促相場となった。これまでパフォームしていた長期国債には気迷いが生じ始め、それまでの株式のヘッジ機能が袋小道に入り始めたため、株式だけは明確に売りやすくなりアンチ・ゴルディロックス的な顔面着地に繋がった。雇用統計を通過したヘッジ外しの過程で寄付きが弱くなかったことも、5400前半を目指したプット買いを仕掛けやすくした。先週の記事でも取り上げたように5400より下はネガティブガンマ域なので割ってしまえば一段と相場が不安定になることが分かっていたが、5400は皮一枚になったものの辛うじて防衛された。
GS CTAは無節操にも再び下に向き始めた。先週の記事で機械の一層の買戻しを(テクニカルを除く)唯一の上昇のきっかけとなり得るドライバーとしていたのは間違いだったことになる。
先日の下落で再びリアライズドVolが上がってしまった。ちょうど30dリアライズドVolから8月初旬のクラッシュが消えるはずだったタイミングなので、これでリアライズドVolが下がらなくなってしまった。リアライズドVolをリスク判定のインプットとしている戦略の出動は後ろ倒しになるし、インプライドVolが20を下回ると楽観すぎという計算になってしまう。
セクターではテックが勢いよく売られ、金融とディフェンシブがその受け皿になっている。
インサイダーは依然レンジ内で高めのネット売却が続く。NAAIMは再び遅れて悲観化しているが、値動きの割りには動きが鈍い。GSのセンチメント・インジケーターは着実に悲観化しており、4月の調整局面を超えて2023年後半以来の悲観域に差し掛かっている。9月半ば以降はシーズナリティが弱いブラックアウト期間に入るため、それまでに捕まってはいたくないものである。
テクニカル。先々週の週足下ヒゲ陽線は騙しであり、5560はレイバーデー明けてすぐにあっさり突破されてしまう。先週の記事の警戒通り、5560突破により5600台後半のダブルトップ臭がかなり強くなったことになる。ナスダックの18180も再び遠くなってしまった。金曜の5400チャレンジがやりすぎであり、このまま5400を守り切れればネガティブガンマ域突入を回避できたことになり、再びポジティブガンマ域でのレンジ推移が続くだろう。一方あっさり5400を割り込んだ場合は日柄的にはOp Exを待つことになるが、その後もシーズナリティの悪さが続く。テクニカル的には5400より下はあまりサポートがなく、どうしても8月のクラッシュの安値を意識することになるが、ナスダックとの温度差があまりにも強いので「S&P 500さえもそこに行く」となると体感としては8月よりも遥かに強い下落ということになる。逆に完全にダブルトップが完成するとしても、米株指数は長期的にはあまりダブルトップを気にして来なかったのも事実であり、これまでの有名なダブルトップだと2018年が有名であり、或いはクラッシュ後の初押しからほぼ全戻ししたのに初押しの方向性が正しかった前例としては2015年末が挙げられるが、どちらもクラッシュで気が済んだら戻している。目下で最も気になるのはやはり最も弱かった半導体指数SOXであり、こちらは明らかに巨大なヘッドアンドショルダーを意識している。今までの下落の勢いではものの数日で4300割れのネックラインに届きそうであるが、4300より上で反転して「ヘッドアンドショルダーの出来損ない」を作ってくれるかどうか。
マクロ的には8月前半の指標は製造業は「中国補助金の春の終わり」通りの弱さになっているが、こと雇用に関してはそこまでリセッショナリーには見えず、むしろそれが9月50bp利下げのフル・プライスインを阻害したことの方が重要だった。つまりせいぜいギアチェンジの苦しみということである。今週来週はCPI/PPIと小売売上高が続くが、もし弱いCPI或いは堅調な小売売上高があれば雇用統計後の株式・債券のデッドロックを解いてくれるだろう。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。