S&P 500は一転して棒上げになった。週は慎重に始まった。月曜は毎回アップル株が下がると言われていた新製品発表会だが、慎重なショートカバーとなった。月曜火曜と慎重な下ヒゲ陽線となった。火曜引け後のアジア時間に大統領候補討論会があり、それを通過すると相対的に金融が弱く、テックが強い地合いに変化した。
CPIは特に弱くなかったので9月50bp利下げ期待の剥落と共に一度は売り込まれたが、先週金曜に続いて5400では跳ね返され、テック主導でV字反転を演じた。下落モメンタムが喪われた後は消化試合感溢れる穏やかなショートカバーが続いた。
結局、ナスダックを中心に前の週の下げをすっかり取り戻すことになった。先週の記事では「金曜の5400チャレンジがやりすぎであり、このまま5400を守り切れればネガティブガンマ域突入を回避できたことになり、再びポジティブガンマ域でのレンジ推移が続くだろう。一方あっさり5400を割り込んだ場合は日柄的にはOp Exを待つことになる」としていたが、前者のシナリオが実現したことになる。
DBのシステマティック勢のポジショニングはピークから抑制されたままであり、先週GSが推定したCTAポジショニングほどは復元していない。
シーズナリティ的には9月後半は最悪だ。9月Op Exの指数リターンは5年連続でマイナスであり、その後の週も弱い。更に多くの市場参加者がそれに勘付いたのか、Op Ex週のリターンも悪化している。Fedの初利下げの後はリセッションか非リセッションかを問わず2ヶ月程度は堅調であるが、短期的には一度売られる。ブラックアウト期間入りも重なる。
NAAIMは今回の切り返しにも付いて来ていない。GSセンチメントも同様であり、シーズナリティの悪さを乗り切った後のオッズは悪くないと思われる。
一方インサイダーはネット売却が続く。
マクロ的には小売売上高とFOMCが控えている。先週の記事では「もし弱いCPI或いは堅調な小売売上高があれば雇用統計後の株式・債券のデッドロックを解いてくれるだろう」としていたが、実際の展開は二転三転している。堅調なCPIで25bpで決着しそうになっても株式指数は大して下落しなかったのだからそれでよかったはずなのに、週後半になって改めて50bp利下げを織り込ませようとする動きが妙に目立った。今のところ50bp利下げを唱えているのは主に昨年引締めが足りないと言っていたメンツと被るのが筋悪であり、そういう意味で再剥落のリスクオフでやられるのは大変アホらしいが、仮にFedの方の意向だったとすれば2023年12月FOMCと似たような展開も想定される。いずれにしろFOMCは直前の織り込みを尊重するであろうから当日はこれまでの指標の日ほどは荒れないと思われるが、綺麗に50: 50で突入しそうな場合は事前ヘッジが入りやすいだろう。次のFOMCまで再び2ヶ月近くあるため、25bpで着地した場合は当日はイベント通過で値持ちしたとしても翌日以降にまた催促で売り込まれそうである。逆にサプライズ25bpを見た途端に暴落した場合はCPIで既に25bp前提になっていた時の5400をカチ割るほどではないだろう。
テクニカル。5400をトライして破れなかったのは2回目となり5400は水平サポートとなる。週足も実体の長い下ヒゲ陽線となり同じ示唆を示す。またここで折り返したことでテクニカルなベアシナリオが狂ってくる。たとえば先週の記事では希望的観測のサブシナリオでしかなかったものの、SOXのヘッドアンドショルダーの出来損ないも見えてくる。もちろん結局は出来るのかもしれないが、先週の「出来そう」から「実際に出来るまでは何とも言えない」までは後退しただろう。もっともそれでもS&P 500の5400は遠すぎて「5400がサポート」と言われても困る。後になって上から新規ポジションで付いていくのはかなり精神的に辛いので、レバレッジだけ落とし、5400割れてぶん投げても痛くない程度のポジションを維持するのが吉か。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。