S&P 500は狭いレンジの中の値動きとなった。前回の記事では「月末失効のJPMカラーの5750コール売りが残っており、5750より上は月末まで重いと思われる」「日足レベルではFOMCの5615がサポートとなり、まずは5615 -5750のレンジに移行できているかを確認する時間帯となる」としていたが概ねイメージ通りになったと言えるだろう。5750より上では利食いが優勢だった。注目されていたマイクロンの決算は堅調に終わり、久々に半導体がアウトパフォームした。その勢いでナスダックも長らくレジスタンスとしていた18180をブレイクした。もっとも木曜にはSMCIの不正会計の疑い、金曜には中国当局によるNVDA製品排斥の動きもあって一直線に伸びるわけにはいかなかった。
USIGやUSHYはスプレッド縮小が続いており、リスクフリー金利も低迷するなら株式の堅調さをファンダメンタルズから説明する。
GS CTAは9月後半の買い戻しに続き10月はベースシナリオで緩やかな売りに回るとしている。9月後半の買い戻しは本来悪いシーズナリティをオフセットしたとも言われている。
GSのディーラーガンマは上昇局面で再び積み上がった。月末のJPMカラーロールで遠ざかる分もあるだろうが、Op Exほどの消え方をするわけではないので、引続き売りが売りを呼ぶ局面は遠い。
久々にMSのエクイティ・リスクプレミアムは「中国製造業の春」の低さからやや戻している。これは債券が先んじて買われており(リスクフリー金利低下)、それに対して株式が出遅れたことを示唆する。これはただ出遅れた可能性もあれば、インフレ・レジームへの期待が薄れることで拡大した可能性もある。
EPSコンセンサスは2024年分も2025年分も低下が著しい。それをロールアップで補えなくなりつつあり超短期的(週次)にはフォワードEPSが微妙に下向いた。これが2022年並みの長い下落になるなら指数もおのずと重くなってくるが、今のところ中長期的にはアップトレンドはまだ維持されている。利下げサイクル入りに伴う金利低下はEPSが減速する中でもそれをバリュエーション拡張でオフセットさせる(2019年パターン)ことが可能だが限界がある。
9月後半の悪いシーズナリティはワークさせない形で概ね通過した。もっとも決算期を前にブラックアウトはまだ明けていない。今週は決算が続かない代わりにJOLTS, ISM, 雇用統計とマクロ指標の週となる。これまではバッドニュースが多かった2022年を中心にマクロ指標がない週の方がリターンがよかったが、今更である。中国経済の底割れリスクが先週剥落したとすれば米国経済がハードランディングする可能性が更に低くなったとは思っているが、今すぐソフトランディング期待が盛り上がるかどうか。また盛り上がったとてアンチ・ゴルディロックスリスクも残るが、一発目までは金利上昇に耐えられる気もする。雇用統計は大きなイベントとなる予定であり、失業率が一層の上昇を見せれば景気後退を意識しやすくなるが、一方でFedは自動的に反応するだろうから再び催促相場になるかというと微妙な気はしている。
NAAIMは過去最高値更新にもかかわらず木曜時点でも伸び悩んだ。これだけ見ているとまだ天井らしさは漂って来ないが、一方でGSセンチメントは急速に改善している。
テクニカルよりも5750に絡むガンマからの考察の方が役に立っており、今のところ5750近辺の動きになっている。今週もじり高で乗り切れば8月初旬から続いた月次リアライズドVolの高Volレジームが終わるのだが、Volコントロール型はフルロードに近いとの観測もあり上値追いの役に立たなそうである。CTAも同様で、裁量勢が急に前向きになるとも思われず上値追いのドライバーには不足している。月曜引けにはどこかが保有するJPMの5750コールが消滅するので理論的にはアップサイドが広がるが、ボラティリティが高まりやすくなる解釈も可能であり、果たして。5750は上方にブレイクされたと言って上に飛ぶタイプのレジスタンスではないため、先週の記事で取り上げた5615 -5750レンジはまだ健在であると判断される。ナスダックの18180は突破されたため過去最高値までレジスタンスがない状態であるが、こちらも同様に今更感がある。上に飛ぶ決定打には欠けるものの、ニューショートをトラップできるような押し目があれば拾えそうではある。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。