S&P 500は上値追いが落ち着いた途端に反落した。前回の記事では「上値余地の方は、JHEQXカラーのコール売りが6055にあることが分かっており、エクスパイアが年末と遠いのでガンマの影響は大きくない可能性もあるが、6055を超えた水準では重くなる可能性が考えられる」としていたが、6055に届くことなく反落している。木曜引け前にパウエル議長が利下げを急ぐ必要がないと発言したことで利下げ期待が後退し、金曜もギャップダウンの挙句に大きく続落した。もっとも1日2%の下げには届いていない。前回の記事で「大統領選のギャップ上限は5860にあり、何かの拍子でこの水準を割り込んで窓埋めに入ると"大統領選後の上げを全戻し=5670を再び伺うかどうか"という切り口になってしまう」としていた5860にも一度タッチしたが、25SMAも同水準にあったこともあって辛うじて引けでは守った。米国の貿易相手国の株式指数の弱さを対岸の火事と見ていたら燃え移ってしまったわけである。
トランプ政権の閣僚指名はその都度バッドニュースとなった。特にヘルスケアが弱かったためS&P 500も珍しくサクサク下げた形となる。
トランプ・トレードの舞台は次第にジャンキーな小型株に移っていく。長らく鳴かず飛ばずだったARKKにさえコール買いが集まった。
レバレッジの需要を示唆する株式のレポトレードも急増しており2021年のミーム株ブーム以来の水準となった。
DB positioningは長らくもみ合いだったにもかかわらず急速に上昇した。大統領選を通過したことで買いかショートカバーが殺到したわけである。
JPMは個人投資家の買いが激しかったとしている。
下落した週にもかかわらずNAAIMは上昇した。統合ポジショニングと違って高値圏で新たに強気になった市場参加者が多い。そしてその後すぐ下落した。GSのセンチメントインジケーターは更にぶっ飛んでいる。全体的に少し雑なロングが構築されたように思える。一人遅いNVDAの決算が水曜引け後に控えており、調整が続いた後なら流れを変えるきっかけになり得るか。
15日はOp Exでもあった。ネガティブガンマ域での下落局面ならOp Ex通過でボトムアウトするのが定石であったが、今回過去最高値に近いので消えるようなプット建玉もあまりなく、6000近辺のコールが大量に観測された。つまりむしろOp Ex前だからこそ6000に張り付いていたのであって、Op Exで6000から離れやすくなったという解釈となる。
テクニカル。ここ二週間あまり相性がよくなかった後の捨て台詞ではないが、棒上げの後の半戻しとチャートがすっかり汚くなってしまっている。S&P 500の5950以上、ナスダックの19000以上は小さなアイランド・リバーサルとなっており、トランプ当選後に建てられた雑な強気ポジションが取り残されている。5860は25SMAの力も借りて首の皮一枚ながらまだサポートとして生存しており、週が明けて先週の雰囲気が忘れ去られれば調整はここまでとなる。一方安値を更新するようなら次は50SMAの5770が視野に入り、この水準までの調整は大統領選全戻しを意味する。6000 -6055は引続き上値が重いだろう。もっとも年末高アノマリーと自社株買いブラックアウト明けは引続き効いているはずで、下値を叩くほどではないと思っている。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。