SP500 technical
 S&P 500は久々に大きくクラッシュした。週前半は高値圏の静かな動きが続き、連日の史上最高値更新ともなった。水曜2/19はMSFTが量子コンピューター向けチップのヘッドラインで買われ、午後にFOMC議事要旨でQT減速の話が出たことで引けにかけて上値を伸ばしたが、連日の終盤の上げは機械勢にも見えた。下値を叩くのが間違いだったのを学習したのか、関税のヘッドラインはすっかり恐れられなくなった。一方水曜2/19引け前に国防省の予算削減懸念で最近堅調だったパランティアが大きくクラッシュし、多かれ少なかれ政府支出への依存度が残る他のテクノロジー系企業にも雰囲気が伝播することになる。加えて木曜2/20はウォルマートが決算で滑ったこともあり、指数が寄り付きから売り込まれた。もっとも下値では買い支えが入り中途半端な下げ方で終わった。金曜については前回の記事でも「金曜のミシガン大学消費者信頼感の確報値が"碌でもない指標"として控えており、再び週末ヘッジのきっかけになり得るか」と警戒していたが、ミシガン何とか自体はインパクトなかったものの、週末ヘッジが始まるタイミングの予想としてはパーフェクトだったと言える。1日2%には届かなかったが、S&P 500は6000近辺まで1.7%売り戻され、辛うじて前回の記事で取り上げた6003と50SMAの6009が重なる水準を維持しながら引けている。中国で新種のコロナウィルスが検出されたとの論文が売りを呼んだとの解説もあるが、さすがに論文は第二次パンデミックを予想するものではなく、牽強にもほどがある。
GS OpEx
 金曜はOp Exであり、先週が始まる時点ではそこまで重要なイベントにも見えなかった(そもそも期末でもない2月Op Exの満期額面は大きくない)のだが、火、水に続いて木曜のイントラデーの下げからの戻し方から明らかにポジティブガンマの特徴が見えて来ると、途端にOp Exはキーになってくる。オプション建玉は6050をピークに6000 -6100間のコールを中心に大きく、Op Ex前はその少し上で推移していたため典型的なポジティブガンマであった。ネガティブガンマ域でのOp Ex底と対をなす形で、Op Ex前に高値圏で妙に動かない日が連続すると、その平穏はOp Ex通過と共に破られやすいことは知られている。
GS Mag7 quarterly sales surprise
NVDA earnings day implied move
 NVDAだけ残してマグニフィセント7の決算は概ね通過したが2022年以来の売り上げサプライズがない期となった。26日に控えるNVDA決算はまた一大イベントである。Deepseekショックで大きく急落したところで個人投資家が買い集め、その後徐々に値を戻していたという構図となるが、仮に決算でガイダンスだけでも滑るとそれなりのインパクトが出そうである。現時点のオプション市場の決算日の値幅織込みは8%であり、その範囲内のリアクションなら消化、ブレイクしたらその方向に走りやすいだろう。
GS CTA
 久々に流れてきたGS CTAは年初以来のポジション復元が大方済んでいる。
DB positioning
 DBの統合ポジショニングも高値圏で一進一退が続く。
GS LF HF future positioning
 最近よく流れて来る機関投資家の先物ポジションは急落の後に少し反発したが、その後非米先進国は買い戻しが続くものの、S&P 500に限っては反発がまたフェードしている。
Bloomberg VIX future position
 こちらは短期ポジションではないだろうが、VIXショートも溜まっている
BofA FMS
GS mutual fund cash balance
 BofA FMSのキャッシュ比率は15年ぶりの低水準まで低下している。4.0%を下回るとセル・シグナルと扱われることが知られているが、直近で3.5%まで低下している。個人投資家が既に祭りに参加していることが分かっている中、機関投資家もポジションが重いとなるとリスクはダウンサイドに大きく偏る。
NAAAIM and GS sentiment
 NAAIMは大きく楽観に傾き、これでほとんどのプレーヤーは楽観で揃ったように見える。
Bear
 テクニカル。先週末の値動きは第二次トランプ政権発足以来ありがちな週末ヘッジの色合いが強く、従って週末を無事に通過さえすればある程度の戻しは行われると考えるべきだが、週足が前の週の下ヒゲ陽線に上ヒゲ陰線を被せた形となり、リリーフラリー以上の上値は重くなってしまう。加えて先週の記事でも取り上げたシーズナリティの悪さが3月上旬まで続く。従って6003サポートはまだ健在であり、一旦はそれがサポートとしてワークしたように見える可能性が高いと思われるものの、基本的に先週週足の領域内はリスクの落とし場になる。NVDAの決算がリリーフラリーに繋がればよりよい売り場が訪れるが、仮に金曜に続く2度目のクラッシュに繋がった場合は一気に下値余地が広がりやすくなる。特にナスダックで見ると12月から続く保ち合いからの下抜けはその間に建てられたロングに対して死刑宣告になってしまう。週足レジスタンスは6147であり、これを上にブレイクできた場合は買い直しても遅くないだろう。下値サポートの方は値幅より日柄で3月上旬待ちとなるか。その頃には1ヶ月先延ばしにされた北米諸国への関税が発効するかどうかもクリアになるだろう

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。