
S&P 500は小幅高となった。5/26月曜に早速先週末の対欧州関税が7/9まで猶予されたことで、先週の記事は1日で紙くずになりかけた。施策で株式が下がるとトランプ政権がすぐ方向転換してきたのをTACO(Trump always chickens out)と称し、ヘッドラインで下がったところで拾うTACOトレードが本人の耳にも入った。休日明けの5/27火曜は高寄り後も豪快に買われたが、先週の記事で取り上げたレジスタンス5969の手前まできたところで、NVDA決算を控えて5/28水曜はやや利食いに押された。5/29木曜には米国国際貿易裁判所(CIT)がローズガーデン関税に差し止め判決を出したことでアジア時間は先物が大幅高になったが、少し調べれば関税がなくなるような話ではないことが分かり、GSはこれをナッシングバーガーと呼んだ。NVDA決算日の値動きは事前に6.6%程度織り込まれており、米株が寄り付くとCITの力も借りて上限ブレイクを試そうとしたが、ほぼぴったりのところで(ちょうどS&P 500も再び5969レジスタンスに迫ったところで)反落し、指数も半導体を中心に反落した。5/30金曜にはトランプが中国との通商交渉の不調を訴えたことで一時大きく売られた。前回の記事で想定したような「バッドニュースで安寄りした後に個人投資家の押し目買いでフラットまで戻るパターンでは、プラス域では伸びないことが多いためフラット近辺では安心して売れる」模範的な日となった。もっとも押し目買い意欲はそれでも強く二回転目の押し目買いが入ったが、引け直後にはトランプがピッツバーグのUSスチールの製鉄所での講演で鉄鋼関税を25%から50%に引き上げると述べている。

GS CTAは6月中はよくてフラット、相場が下向きになれば再び下向きに売るとしている。

DBのポジショニングではシステマティック勢がまだ18パーセンタイルと買戻しが進捗しておらず、裁量勢は41パーセンタイルと通常運転に戻っている。

バークレイズも機械勢の買戻し余地を指摘する。

珍しく流れてきたUBSのCTAポジショニングでは、確かにS&P 500に関してはポジションが軽いものの、代わりにユーロストックスやEM株をオーバーウェイトにしており、株式全体に対するエクスポージャーが足りないわけではない。

なお、ここまで相場をかき回したマクロHF / CTA部門は今年ここまで儲かっていないようである。

自社株買いはまだ旺盛である。

先週明け時点に流れてきたものにはなってしまうが、BofAのディーラーガンマプロファイルは5月Op Exを過ぎてもまだ6000以上はネガティブガンマが続く。JPMのカラーのコール売りも刺さっている中でどうして上方のネガティブガンマが消えないのか不思議であるが、とにかくこのマップ通りなら、6000を超えるとショートカバーが加速しそうな構図は5月Op Ex前から変わっていない。下値では5700割れにはポジティブガンマの山があり、並みの下落はここで阻まれやすいだろう。

今回の相場のスマートマネー(HF以外の機関投資家はダムマネーである)として存在感を発揮した個人投資家は、4月の下げで大幅に買い越した後、5月後半に少しずつ売りに転じている。

インサイダーの売りは引続き低調である。

NAAIMは完全に楽観域まで戻っている。これで上値追いはかなりしたくなくなってくる。

テクニカル。5969は引続き週足レジスタンスであり続ける。先週はあれだけのポジティブ・ヘッドラインが集中しても「5969を背にした5900近辺の売り」はチマチマとワークした。もっとも下値も固まってきており、金曜5/30日足下ヒゲ陽線の下値5843さえもブレイクできないなら、二匹目のドジョウを狙うショートも更に難しくなってくる。ブレイクした場合もガンマプロファイルで山になっている5700近辺は堅いだろう。相場が再び不安定化するのは先週の記事でも取り上げた5580までブレイクされた場合であり、今のところ少し遠い。気を付けるべきは5580ブレイクに加えて毎回ながら1日2%以上の下げであり、それが見られた場合は翌日のイントラデーの反発も無視すべきであり、ヘッドラインを整理しつつ翌々日以降に買い向かうかどうかを決めることになる。それが見られない限り、買戻しが続く機械勢による低ボラティリティ・じり高の自己実現が続きやすいと思われる。

5月は月間を通して1990年以来の大幅反発となった。続く6月はシーズナリティが弱く、それがセル・イン・メイと呼ばれる所以であるが、元々4月のシーズナリティは強めなのにヘッドラインでああなったくらいなので、今はそれどころではない。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。