SP500 technical
 S&P 500は一度大きく上値を試した後に地味に反落している。先週の記事では「下ヒゲがもっと長ければ一度下固めを必要としたかもしれないが、実体の長い陽線なので、そのままじり高が続いて想像力を試してくる可能性の方が高いだろう」「解放の日の急落以来、このガンマウォールの右側にはまだ行けたことがないが、今回こそチャレンジできるか」と、あまり強いビューを発信しない本ブログとしてはマッシブな強気姿勢を述べており、先週前半の上げを予想するのは想像力さえ備えていれば難しくなかった。しかし、その総仕上げ、画竜点睛となるべきFOMCでは逆噴射した形となる。即日でもおかしくなかったQT終了は12/1と発表され、また12月利下げについては期待をプッシュバックした。早い話、2022年以降市場参加者が忌み嫌ってきた「株が上がりすぎてパウエルが怒った」形となる。FOMC当日は明らかに大型決算が控えていたため市場参加者が身動きを取れない状態で引けたが、週後半はラージテックの好決算を消化しながら連日の陰線となった。
Bloomberg Big Tech earnings
 ラージテック決算は個別企業やセクターレバETFにとって大きなデジタルリスクとなったが、過剰投資懸念が盛り上がるMETAが大幅に売られ、その他は堅調と、指数ベースで見るとアフターアワーの動きが大きな窓を招くことなく、概ね平穏に通過した形となる
BofA beats reward
GS earnings beats reward
 ラージテックに限らず決算自体は堅調に進んでいるが、マクロなスケベ心がある状態で迎えたこともあってか、ビートは大して報われず、ミスは大きく罰せられている。
zerohedge ORCL CDS
 AI関連の過剰投資懸念は別の市場でもトレードされており、AIバブル関係者の中でひときわ財務レバレッジが高いオラクルのCDSが連日拡大しており、「解放の日」の水準よりも遥かに高くなっている。絶対値は大したことないので今すぐどうこうということはないが、来週以降これが新たに炭鉱のカナリアと見なされるだろう。OTCプロダクトであり水準を確認しづらいのが辛いところである。過剰投資懸念は最終的には克服されると思われるが、週が明けても燻ぶるようなら、短期的になかなか反証できるヘッドラインが想像付かない。
GS CTA
 GS CTAは依然11月中にわたって緩やかな売りが続くと予想する。
DB CTA
 DB CTAは株式ポジションを少し落としたところで停滞しており、連日の最高値更新によって一層のポジション縮小は回避された可能性が高いものの、ポジショニングの絶対値は依然高い。
BofA Dealer Gamma
 BofAが推測するディーラーガンマ。6800前半に急峻な山が立っており、先週は「解放の日」以来初めて、指数から逃げるように上昇してきたコールウォールを指数が越え、6900より上方に広がるネガティブガンマ(上方手当不足)域に突入したと思われる。この展開自体は先週の記事で予想できたものであるが、ショートカバーが連続したのはFOMCまでであり、週後半は6800前半に戻ってくるのだが、6800前半のポジティブガンマ域はサポートとしてワークした。週末時点でもコールウォールの左側への回帰を断言できるわけではなく、現に木金は陰線ながらも小動きの範囲内に収まっているが、一層の下落が見られた場合、ポジティブガンマ域のサポートは10月以前ほどは強くないことに留意すべきである。ネガティブガンマに転ずるのは引続き6500近辺である。
Citadel retail option volume
GS put call skew
 高値追いの主役になったのは主に個人投資家のオプションであり、スキューはそこまで逆指標としてワークするわけではないが、とにかくコール買いが盛り上がりを主導したことが分かる。
NAAIM and GS sentiment
 NAAIMは9月以来の急速な上げを見せており、中期的な天井圏に到達した。9~10月の連日の高値更新の間に出なかった勇気が先週ついに爆発したようである。NAAIMだけ見ると次は調整の順番ということになるだろう。
Earnings whispers
 決算はラージテックが一巡しており、デジタルリスクは限定的になってくる。期中OpenAIに出資してもらったことで高騰したAMDが火曜引け後に控えている。
DB seasonality
 ブラックアウトが明けつつあることはグッドニュースとなる。またハロウィーンを通過したことでシーズナリティは一気に改善する(ハロウィーン効果)。ただ今年の指数はあまりシーズナリティ通りに動いてこなかったことには留意が必要である。金融政策の方からのサポートは12/1まで途切れており、レポ金利の高止まりがあっても12/1まで対策は打たれないことになる。またQTの進行に伴い準備預金も減り始めており、流動性逼迫のヘッドラインが来たら1ヶ月耐えなければならない。(金融相場と勘違いした人も少数ながらいるが)基本的に久しく業績相場をやってきた中ではあるが、Fed BSと株価を重ねるパブロフの犬的には夜明け前の暗い時間帯となる。政府閉鎖で経済指標が出ないことにすっかり市場参加者は慣れてしまったが、再開と共に指標発表再開の予定が決まる場合、そこに向けてヘッジが構築されることになるだろう。

 テクニカル。S&P 500は久々に週足が長い上ヒゲ陰線となる。FOMC前高値から押し戻される過程で悲壮感がないというか誰も気付いてすらいないようにも見えるのは油断か、コストがもっと遥か下にあるためか、或いは軽すぎたポジションをそこで復元していたか。いずれにしろ6920は週足レジスタンスとなる。それを更に超えていくには、金融相場期待が萎む中、再開される自社株買い、シーズナリティと個人投資家の一層の奮迅に頼ることになる。週足サポートは6655, 6550が続くが、どの水準で10/10ショックで間違って投げた裁定勢の買戻しを誘発できるか。業績とマージンに懸念がほとんどない中、万が一勢いで指数がネガティブガンマ域に突入することがあれば、それが招く変動拡大リスクに耐える価値は十分あるだろう。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。