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 チャイナショック後の不動産・インフラ投資の盛り返しを引っ張ってきたヒーローであるPPP(官民パートナーシップ)プロジェクトが次々と中断させられている。中国が共産党大会を通過し、GDP目標の6.5を上回る部分のバッファを使いつぶして引き締めに動いているというビッグテーマに沿う新たなニュースである。

中国、地方インフラ開発1000件中断 財政悪...(写真=ロイター)

【上海=張勇祥】中国の地方政府が民間資金を活用して整備するインフラ事業の中断が相次いでいる。中央政府は今年に入り、内モンゴル自治区の地下鉄建設など1000件近くを停止に追い込んだ。地方政府の財政悪化

 インフラ整備の採算は取れないのが普通だし、インフレがコントロール可能である限り地方債務も直ちに大きな困難を招くことはない。テールリスクがあるとすれば、それよりも「プロジェクトがいつ頓挫させられるかわからないから設備投資を控える」という企業経営陣のセンチメント面のリスクの方が大きい。2014年は「いつ幹部が粛清されるかわからないから設備投資どころではない」というセンチメントがチャイナショックの遠因となった。

 いずれにしても、中国政府の金融、財政両面からの引き締めは一時6.9までブーストしたGDPの低下要因にはなり得る。米国の製造業景況感は中国重厚長大産業の景況感に連動するため、潜在的に米国の製造業景況感の低下要因ともなり得る。

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