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 11/17に中国人民银行、銀監会、証監会、保監会、SAFEが連名で発表した声明文で、理財商品の元本保証を禁止し、元本保証行為には罰金を徴収すると宣言した。今まで銀行は富裕層を相手に理財商品という高利回りの投資商品を発行し、調達したお金を不動産などの企業への融資や、市場運用に使ってきたが、もし裏付けとなっているプロジェクトが破綻しても自己資本を使って補填するという暗黙のルールを作っていた。元本保証により銀行は比較的低金利でシャドーバンキング調達が可能となり、一方で保証あくまでも暗黙なので運用先はオフバランスだった。投資家から見たら、危険先に投資してそれなりの高利回りを享受するが、リスクは銀行が負担するというモラルハザードな商品となった。

 共産党大会を通過し、中国政府がGDP目標の6.5を上回る部分のバッファを使いつぶして引き締め・デレバレッジに動いている中で、金利引き締めだけでなく代わりとなる資金調達ルートをも潰してしまおうという施策が今回の政策である。

「影の銀行」規制、中国が本腰(写真=AP)

【北京=原田逸策、上海=張勇祥】中国が「影の銀行」の縮小に向け、規制強化に踏み切る。銀行、証券など業種横断で「理財商品」などの金融商品の販売に網をかけて規制の抜け道をふさぐことで、資金が銀行を介さず

 理財商品の元本保証問題は全く新しい話題ではない。2014年春にも苦境に陥った企業が裏付けになっている理財商品が何件もデフォルト騒ぎを起こしており、その時も「暗黙の元本保証」が打破されるかと思われていた。代表的な例としてはICBCが富裕層に窓口販売した、山西省の石炭企業への融資が裏付けとなっていた「誠至金開1号(Credit equal gold)」という何ともふざけた名前の理財商品において、石炭価格の下落を受けた融資先の破綻に際してICBCが元本補填を拒否した事件である。何人かの投資家はICBCの支店の前でデモを行ったという。一方でICBCがその一件で元本補填をした場合は販売した全ての理財商品を実質的にオンバランスで抱えることになるため、一時世界中の注目を集めた。結局、山西省政府とも言われる正体不明の資産運用会社がこのファンドを買い取り、投資家は金利収入を諦めることになったものの元本は保証されたというモヤッとした結末となった。あれ以来、中国のほとんどの銀行窓口のLED看板で「理財商品にはリスクがある」とでかでかと表示されていたものだが、どうも景気の回復を経て忘れ去られたようである。世界中の注目は企業債の暗黙の元本保証に移り、そちらは重厚長大企業の何件ものデフォルトによって打破済みである。

 というわけで、今さら理財商品の元本保証禁止と言われると「あの話がようやく進んだのか」と3年前からワープしてきた気分である。その間、商業銀行が組成した理財商品はデフォルト実績がなかったようだ。従って晴天の霹靂のようなインパクトを相場に与えることもないと思うが、強力な引締めが続いていること、またそれが材料視されやすくなっていることは間違いない。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。