南アフリカは一大イベントであった24日の格付け会社の見直しを無事に通過した。元より2社が一斉に格下げしたら世界債券インデックスから排除されるため世界中のインデックスファンドから100億ドルが引き上げられると見られていたが、2社同時は流石になくインデックスに残留、というのがコンセンサスであり、コンセンサス通りの結果となったがZARは上下に大きく振れた。
 まずS&Pが1ノッチの格下げを発表したのは米国時間引け直前であった。それを受けてZARは大きく売られた。そのまま引けた後にMoody'sが据え置きを発表し、現時点でのインデックスへの残留が決まった。月曜にはZARが大きく買い直された。

 S&Pが格下げしただけではまだインデックス落ちが決まったわけではないから本来慌てて売る必要はない。しかし、人々の心の中ではS&PとMoody'sの行動は互いに独立ではなく相関を持っていることになっていた。つまりS&Pが格下げした瞬間から人々が考えるMoody'sの格下げ確率も激増した。そして、週末になってMoody'sが据え置いた瞬間、実績ベースの相関は0になった。月曜の朝はある意味ボーナスステージだった。「Moody'sもレビューを付けたので数ヶ月以内にインデックスから落ちる」という推測より先に、織り込みすぎた相関を月曜に吐き出さねばならなかった。
ZAR
USDZARとインデックス落ち確率(推定)

 次の見直し予定は数ヶ月以上先だが、レビューが付いているため臨時で引き下げることもあり得る。ただ欧州金融危機で格付け機関がソブリン危機を助長したという批判を受けて、予告なしで朝起きたら格下げされていた、というのはないはずだ。前回の記事でムーディーズは「一応2018年2月まで待つという可能性もあるが、随時格下げに動いても仕方がないという状況である」としていたが、実際に2018年2月まで待つということにしたようだ。それまでズマ大統領が退陣せずにやりたい放題を続ける限り来春までのインデックス落ちは避けられないと思うが、高金利への誘惑を考えると2018年2年までショートを引っ張るのもリスクが高く、面白くない期間が続きそうだ。

この記事は投資行動を推奨するものではありません。