年初から株と米金利が上昇し、一人取り残されていたドル円もようやく追いつこうとしているところに、日銀の突如の国債買入れオペ減額が再び腰を折りに来ている。発表前に113.1台であったドル円はすぐに112.5まで下落、そして本日米金利が大幅高で返って来たにもかかわらず112台前半まで売り込まれている。(もっとも、その米金利の大幅高も「日銀発のグローバルスティープニング」と言われていたりするが)
2017年1月25日以降の円長期金利と米長期金利の推移。
2017年1月25日以降の円長期金利と米長期金利の推移。
オペの減額が為替相場に大きな影響を与えたのはちょうど1年前の2017年1月25日の1〜5年ゾーンスキップ以来である。当時も米金利が上昇してきたところで日銀が買支えを躊躇する形でオペを減額し、ドル円が大きく売られた。共通点としては「着地まで遠く自由度が高い1月・米金利が上昇局面」である。2017年1月の場合は2日後に市場に投降する形で27日に買入額を400億増額した。ところが元より米金利の上昇で緊張感があったところで無駄にボラティリティを作ったため、増額の後も国債金利の上昇と市場の不安定化は収まらず、一週間後の2/2には無制限買入れオペの発動まで追い込まれている。
その後はメディアがテーパリングテーパリング唱え続けたがついに2017年中に政策変更はなく、日銀の1月のスキップは全く深い考えに基づいたものではなかったことが明らかになっている。今回も同様だろう。去年の教訓を忘れているわけがないからわざとだろう、という考え方もできるだろうが、黒田総裁はオペ減額でメッセージを出すキャラクターではないため、深読みは禁物である。去年の展開を辿るなら、数日後に日銀が再び市場に投降してこの騒ぎが終わることになる。ただ、2017年に日米金利差が開いても結局円安にいかなかったように、テーパリングネタがドル円の上値を抑え続ける可能性はある。特にこれまでの米金利上昇=ドル円上昇、というシンプルな図式に、米金利上昇=日銀がまたチキるかもしれない、という要素が加わるとドル円が米金利の上昇に付いていかない恐れがある(ただ長期的には収束する)。渦中の円金利は昨日は大して動かなかったが、今回テーパリングのテの字が出ただけで円高になることがわかったため、日銀が今まで以上にテーパリングに慎重になることを織り込んで今後も大して動かないだろう。
なお、ここ数日の東証の反応からもわかるように、本当にテーパリングを織り込みに行く、となった場合も銀行株が上がるため日本株指数は下がりづらい。引締め局面で高金利・銀行株高主導のトリプル高だったトランプ相場の日本版が上演されると理想だが、さて。
その後はメディアがテーパリングテーパリング唱え続けたがついに2017年中に政策変更はなく、日銀の1月のスキップは全く深い考えに基づいたものではなかったことが明らかになっている。今回も同様だろう。去年の教訓を忘れているわけがないからわざとだろう、という考え方もできるだろうが、黒田総裁はオペ減額でメッセージを出すキャラクターではないため、深読みは禁物である。去年の展開を辿るなら、数日後に日銀が再び市場に投降してこの騒ぎが終わることになる。ただ、2017年に日米金利差が開いても結局円安にいかなかったように、テーパリングネタがドル円の上値を抑え続ける可能性はある。特にこれまでの米金利上昇=ドル円上昇、というシンプルな図式に、米金利上昇=日銀がまたチキるかもしれない、という要素が加わるとドル円が米金利の上昇に付いていかない恐れがある(ただ長期的には収束する)。渦中の円金利は昨日は大して動かなかったが、今回テーパリングのテの字が出ただけで円高になることがわかったため、日銀が今まで以上にテーパリングに慎重になることを織り込んで今後も大して動かないだろう。
なお、ここ数日の東証の反応からもわかるように、本当にテーパリングを織り込みに行く、となった場合も銀行株が上がるため日本株指数は下がりづらい。引締め局面で高金利・銀行株高主導のトリプル高だったトランプ相場の日本版が上演されると理想だが、さて。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。