著名投資家のガンドラック氏は「米長期金利が2.63%を超えたら上昇に歯止めがかからなくなり、米株にも悪影響を与える」と言っていたそうだ。2.63%という半端な数字の根拠についてガンドラック氏は述べていないが、恐らく去年春先のトランプ相場の高値を意識していると思われる。先週金曜の長期金利の引け値は2.66%に載せており、若干ながらもガンドラック氏のラインを超えている。
DoubleLine's Gundlach predicts S&P will post negative return in 2018
NEW YORK (Reuters) - While U.S. stocks are now in an "accelerating phase," billionaire investor Jeffrey Gundlach is predicting that the S&P 500 will post a negative rate of return in 2018. One of the best investments for 2018 will be commodities, Gundlach, chief executive of DoubleLine Capital and known on Wall Street as the "Bond King," said on an investor webcast on Tuesday.
金利上昇は理論的には株価の下落要因である。株式の配当率よりも債券金利が高ければ資金が債券市場に吸い込まれるし、企業が社債を発行して自社株を買うにもハードルが上がる。
インフレが伸びない中でFedの利上げが続いてきたため、米金利の2-10スプレッドはフラットニングが進んできたが、2017年年末以降は短期金利が上昇する中でもフラットニングは一段落し、長期金利の上昇につながっている。引締めの行きすぎを示す2-10のインバートまではまだ50bpも残っている。
米国のインフレ期待を表す10年ブレークイーブンは好景気とコモディティ高により急速に上昇している。これは、米金利の上昇が金融政策の引締めによるものではなく、インフレ期待の上昇によるものであることを示している。引締めによる金利上昇なら素直に株価の下落要因となるが、インフレになると債券が売られ、配当が成長すると思われるため、むしろ債券から株へのグレートローテーションが起きる、というのが本日までの展開であった。これが極限まで進むと、株の価格が上がり続けるという前提が揺らいだ瞬間に立ち止まって債券に回帰してクラッシュとなるが、それが果たして今日明日なのか。
インフレ期待と名目金利が同時に上昇しているため、米国の実質金利は2017年のトランプ相場以来横ばいであり、特に金融政策が引き締まっているわけではない。
金融ストレス指数は底を打って上昇に転じているが、まだ底値圏である。
もっとも、2007年までの利上げ局面でもクラッシュのその日までは金融ストレス指数は目立った上昇を見せておらず、カナリアとしてはあまり使えないため、油断は禁物である。目下は米金利の上昇がガンドラック氏の言うように歯止めが効かなくなるかどうかに注目。金利上昇要素としてMBSのコンベクシティ払いがすっかり有名になってしまったが、本邦勢の「保有米国債が値下がりして含み損になると森長官に怒られるので投げたくなる」という金融庁コンベクシティも有力。
インフレが伸びない中でFedの利上げが続いてきたため、米金利の2-10スプレッドはフラットニングが進んできたが、2017年年末以降は短期金利が上昇する中でもフラットニングは一段落し、長期金利の上昇につながっている。引締めの行きすぎを示す2-10のインバートまではまだ50bpも残っている。
米国のインフレ期待を表す10年ブレークイーブンは好景気とコモディティ高により急速に上昇している。これは、米金利の上昇が金融政策の引締めによるものではなく、インフレ期待の上昇によるものであることを示している。引締めによる金利上昇なら素直に株価の下落要因となるが、インフレになると債券が売られ、配当が成長すると思われるため、むしろ債券から株へのグレートローテーションが起きる、というのが本日までの展開であった。これが極限まで進むと、株の価格が上がり続けるという前提が揺らいだ瞬間に立ち止まって債券に回帰してクラッシュとなるが、それが果たして今日明日なのか。
インフレ期待と名目金利が同時に上昇しているため、米国の実質金利は2017年のトランプ相場以来横ばいであり、特に金融政策が引き締まっているわけではない。
金融ストレス指数は底を打って上昇に転じているが、まだ底値圏である。
もっとも、2007年までの利上げ局面でもクラッシュのその日までは金融ストレス指数は目立った上昇を見せておらず、カナリアとしてはあまり使えないため、油断は禁物である。目下は米金利の上昇がガンドラック氏の言うように歯止めが効かなくなるかどうかに注目。金利上昇要素としてMBSのコンベクシティ払いがすっかり有名になってしまったが、本邦勢の「保有米国債が値下がりして含み損になると森長官に怒られるので投げたくなる」という金融庁コンベクシティも有力。
この記事は投資行動を推奨するものではありません。