香港株が年初から香港上場の中国企業H株を中心に爆上げしている。H株指数は年初来19連騰。本ブログでは年初の展望で「新興国の中では利上げ耐性が強い中国を選好。上海株のパフォーマンスはいまいちだったがこちらは未だに割高であり、同じ企業群が上場している香港株指数を選好」と名指していた。ただ、「利上げ耐性がある」とは書いていたものの、「利上げ期待で暴騰する」とまでは予想できなかった。

 チャイナショックの時に政府の命令を受けてブルーチップを買支えた「国家隊」は売りに回っており、代わりにファンドや海外勢が高値を追っている。2016年年末に米国の金利上昇で金融株を始めとするバリューセクターが火を噴いてトリプル高になったのと同じ構図である。
HSI HSCEI
BoC PingAn

 短期的に世界で最も買われすぎの指数になってもH株はなおPERが10倍と割安である。しかし、日本のメガバンクと同様、金融中心のH株は今までもずっと遥かに割安に放置されていた。チャイナショックの時には6台に突入していた記憶がある。その時に筆者はレバレッジがかかったH株ETF 1572で元本全損の恐怖を味わった。バリュートラップからの目覚めを誘発したのは、どうも金利上昇であったようだ。金利が上昇すると政府と民間企業からの利息支払いが増えて本業が上向くというシンプルなストーリーだ。本業が上向けば変にレバレッジを積んでインターバンクでイールドハンティングしなくても良くなる。
China 10 year
china curve
 本ブログが一貫して追ってきたように、中国の金融政策は引締めに傾いている。否定意見も出ているものの、ついには一部で利上げ観測まで出ていたようだ。中国の長期金利は4%に乗せている。短期金利も過去1年間で1%近く上昇した。これで金融緩和で消耗している国の方が少数派になってきた。

 なお、金融緩和のターンでは米国、日本が相次いで金融緩和でバブルを作った後、2014年に中国も真似て金融緩和を敢行したところ、一瞬株がバブルになったもののすぐに人民元の資金流出という中国特有のトラブルに見舞われた。引締めでは中国は日本の前に躍り出た。また不動産あたりで中国特有のトラブルに見舞われるとパターンとして綺麗になるが、果たして。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。