米ドル相場と金利の乖離について、Fulcrum Asset Management会長のGAVYN DAVIESが今度はユーロドルに注目して解釈を与えている。曰く、世の中にはドルの弱さを長期均衡から見ての過大評価や、欧米間の経常収支で解説する向きがあるが、結局は政策金利(及びそれへの期待)の範囲内で説明可能だというのである。
Dollar weakness driven by monetary policy after all - FT
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ユーロドルと5年欧米金利差の図。下のドル円と米金利の関係で我々が見慣れたワニ口の絵である。
大事なのは下の図だ。ユーロドルを米欧の2年5年金利差で説明している。直近はともかく、市場が予想する3〜5年後の間のFed利上げ回数は減衰している。一方、欧州金利が織り込む3〜5年後のECB利上げ回数は緩やかに上昇している。これは2-5年カーブスプレッドにおける欧州のスティープ化で表現される。直近の政策金利は既に為替相場に織り込まれており、将来の政策金利を織り込む場面にシフトしつつあるという見方もできるし、グローバル投資家からすると米国債よりも欧州国債の方が絶対利回りが低くてもその後のロールダウンが大きくなるため欧州金利への投資選好が正当化されるということでもある。
ではドル円の方はと言うと、残念ながら2-5年カーブスプレッドはネット上ですぐに見つからなかったが、代わりにここ5年間の米国債の2-10年カーブスプレッド(下図・上)とドル円(下図・下)見てみると(円金利カーブは無視)、確かに2015年以来大きな山と谷については一致している。トレンドも違和感がない。
ただ、10年金利で説明できなかったものが2-10年スプレッドで説明できるということは、2年金利がドル円に逆行することを示唆している。「ドル円を見る際に参考にすべきは2年金利か10年金利か」の論争がここで決着が付いたのは良いとして、敗者とはいえ2年金利と全くの逆相関というのも今ひとつ腑に落ちない。また前回の記事と合わせると、通貨価値は実質金利と金利カーブスプレッドと同時に連動する、ということだろうか。
また、日銀の2014年の追加緩和の結果としてのドル円の2015年の高原が目立っており、ドル円に関してはデイビス氏の挙げた「ドルの著しい過大評価」という世間の議論が正当化されているようにも見える。もっとも今更「ドルは著しく過大評価されていた!」と胸を張られても凄まじく結果論の感がある。
大事なのは下の図だ。ユーロドルを米欧の2年5年金利差で説明している。直近はともかく、市場が予想する3〜5年後の間のFed利上げ回数は減衰している。一方、欧州金利が織り込む3〜5年後のECB利上げ回数は緩やかに上昇している。これは2-5年カーブスプレッドにおける欧州のスティープ化で表現される。直近の政策金利は既に為替相場に織り込まれており、将来の政策金利を織り込む場面にシフトしつつあるという見方もできるし、グローバル投資家からすると米国債よりも欧州国債の方が絶対利回りが低くてもその後のロールダウンが大きくなるため欧州金利への投資選好が正当化されるということでもある。
ではドル円の方はと言うと、残念ながら2-5年カーブスプレッドはネット上ですぐに見つからなかったが、代わりにここ5年間の米国債の2-10年カーブスプレッド(下図・上)とドル円(下図・下)見てみると(円金利カーブは無視)、確かに2015年以来大きな山と谷については一致している。トレンドも違和感がない。
ただ、10年金利で説明できなかったものが2-10年スプレッドで説明できるということは、2年金利がドル円に逆行することを示唆している。「ドル円を見る際に参考にすべきは2年金利か10年金利か」の論争がここで決着が付いたのは良いとして、敗者とはいえ2年金利と全くの逆相関というのも今ひとつ腑に落ちない。また前回の記事と合わせると、通貨価値は実質金利と金利カーブスプレッドと同時に連動する、ということだろうか。
また、日銀の2014年の追加緩和の結果としてのドル円の2015年の高原が目立っており、ドル円に関してはデイビス氏の挙げた「ドルの著しい過大評価」という世間の議論が正当化されているようにも見える。もっとも今更「ドルは著しく過大評価されていた!」と胸を張られても凄まじく結果論の感がある。
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ドル円と米10年金利の相関が完全に壊れるこの記事は投資行動を推奨するものではありません。