注目されていたイタリア総選挙では、過半数を獲得した党がないHang Parliamentの中、左右ともに中道が支持を失い、左右ともに急進派が支持を集めた結果となった。選挙前は「ベルルスコーニがまとめた中道右派連合」への贔屓がすごかったが、蓋を開けてみるとベルルスコーニ直系の中道右派フォルツァ・イタリアは中道左派民主党とともに落ちぶれた組に入っている。急進左翼の五つ星運動と急進右翼の同盟(前・北部同盟)を合わせると50%近い票を集め、双方を排除した組閣は限りなく不可能となった。これはEU懐疑派への支持が半数に達したことをも意味する。党別の得票率では五つ星の圧勝。「右」を合わせたら37%となるが、過半数からは遠く、どこかと連立するのでもなければ意味のない数字である。しかもその中では同盟がフォルツァに4%の差をつけて最大勢力となっている。
Chart
result figures
最終的な結果。
 どうせ宙ぶらりんでベルルスコーニ主導の大連立と楽観していた市場に対して本ブログは中道右派の中で同盟優勢となるリスクシナリオを提示していた。そしてその上で「ギリシャ危機の時と違ってこれはイタリア国内の問題でしかないし、フランス大統領選の時とも違って反EUは争点になっていないので、リスクオフのきっかけになった場合も揺さぶられるべきではないだろう」まで予想を立てていた。
 中道右派が連立政権を作るにはあれば民主党、五つ星のどちらと連立する必要があるが、民主党は腐っても鯛であり、同盟、フォルツァよりも立場が強いため、案外まとまりにくそうだ。選挙前に大連立を漠然と考えていた参加者はもう少しフォルツァが健闘し、主導権を取ることを期待していたのではないか。実は五つ星と民主党で左派政権を作るなら軽く過半数を制することができるが、民主党は五つ星と組むくらいなら下野すると言っている。逆に、これは左派二党を排除して右派では組閣できないことを意味する。五つ星と同盟も政策は似ているとアナリストたちは言っているが現実的には極左極右ではハードルが高いだろう。これで「同盟が大連立に反対」まで加わると、誰かが嘘をついていない限り再選挙に突入である。イタリアの政局不安がペインな参加者からするとあと3ヶ月「不確実性が続き」、何もないまま終わるのがペインな参加者からするとあと3ヶ月「連立への期待がつなぐ」形となる。
Italy map
南北で綺麗に極右極左に分かれた。

 元々イタリアの政治は万年宙ぶらりんであり、これを解消するために第一党に議席ボーナスが与えられていた。五つ星の単独政権を排除するためだけに議席ボーナス制度を廃止したが、組閣しづらい元通りの図になっただけで、テクニカルをいじっても民意まで変えることはできない。イタリアでEU懐疑派が予想外に伸びたのは、移民問題ももちろんあるが、特に反EUが全く受けないスペインとの違いを探すとやはりイタリア銀行業の不良債権処理でEUの官僚たちが公的資金注入に厳しい姿勢を続け、イタリア市民の財産をリスクに晒してきたからではなかろうか。

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