誤解を解いた9月分雇用統計 8月月初に金融市場を震撼させた「サームルール」はすっかり誰も話題にしなくなっている。本ブログは7月分の雇用統計が悪かった当初から「サームルール」のトリガーに懐疑的であった。前回の記事では・サームルールが発動した背景の大半は解雇 ...
カテゴリ: Fed金融政策
中国補助金の春と共にインフレ懸念が一気に終焉
中国補助金の春 先進国の製造業景況感とインフレ懸念が急速に変調している。今年の春から夏にかけての先進国製造業景況感の期間限定の盛り上がりはやや不可解なものに見えるだろう。元より強烈な金融引締め下では反発し得ないはずだったが、それが実際に起きたことで中立金 ...
米労働市場の「今回は違う」と「今回も違わない」
米国の雇用とそれを気にしはじめた金融政策について。6月の雇用についての記事では賃金インフレは何の疑念もなく減速していると述べた。7月FOMCの前の記事ではFedが利下げに転ずる前後に催促相場になる可能性を取り上げつつも、7月FOMCでタイムリーに9月利下げへの道を ...
Fedはpivotまでラストワンマイル
バンピーなCPIと利下げ織込み 2024年に入って米国のCPIと利下げ織込みは右往左往が続いた。残念ながら2023年中の利下げ転換(pivot)はなかったが、12月FOMCで再び利下げ開始に含みが持たれ始めると利下げ期待が一気に再燃し、短期金利市場は一時的に2024年中6回利下げま ...
西側同盟国のインフレシェアリングと通貨防衛
先進各国のインフレ退治の金融引締めで実質成長が一斉に抑圧されてきた中、2024年に入ってから米国の実質GDPコンセンサスだけが急に景気後退スレスレから盛り返し、一転して実質2%成長に戻っている。これは――日本は言うまでもなく――欧州と並べても飛び抜けて高く、米ド ...
BTFPとRRPが作る流動性スケジュールが結局平準化
BTFPの終了 前回の記事でもセットで取り上げたBTFPとRRPについてのアップデートと訂正。BTFPについてはなくなる直前まで本ブログの理解は不完全であった。1/24、ついにオフィシャルにBTFPが3/11付けで終了することが発表された。前回の記事ではBTFPが「どう見ても異例で緊 ...
年末に話題を呼ぶBTFPとレポショック2もどき
年末にかけてはBTFPの利用額増加とレポ金利の上昇が話題になった。2023年3月の中小銀行危機に際して創設されたBTFP(the Bank Term Funding Program)の利用額はその後の中小銀行コミュニティのファンディング・ストレスを観測するためにモニターしていた市場参加者も多か ...
利上げ停止から始まる流動性のスケジュール
6月から始まったRRPの取り崩しは、一旦始まると止まらなくなっている。我々は債務上限問題で連邦政府がFedに置いていた政府預金(TGA)を極限まで取り崩し、6月初に債務上限が一時停止された後に国債増発を通してTGAを復元しにかかったことを学んできた。その過程は1兆 ...
QTが資産価格に限定的な威力を発揮する
RRPによるTGAの綺麗な代替 まず5月末に警戒されていた米国の債務上限とデフォルト騒ぎのその後について。今となっては99%の市場参加者がすっかり忘れ去っているに違いないが、債務上限の再撤廃に伴うT-Bill増発で1兆ドルの流動性吸い上げなどという与太話が大真面目に語 ...
当然何も出て来ないジャクソンホールと中立金利
利上げサイクルがどう見ても終盤に近付きつつある中でも一向に債券に買い安心感が出て来ない。過去の前例では利上げが止まったらあとは利下げしかないので目を瞑って債券を買えばよかったことが分かっているが、2023年夏になってその瞬間が近づきつつあることが分かってい ...